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主要作品紹介【しんじゅうてんのあみじま】

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小春の心変わりに逆上する治兵衛
「北新地河庄の段」

あらすじ

上の巻】 【中の巻】 【下の巻

 紀伊国屋(きのくにや)の遊女・小春(こはる)と紙屋治兵衛(かみやじへえ)の心中までのいきさつに、治兵衛の妻・おさんや、兄・孫右衛門(まごえもん)といった、周囲の人々が絡む物語です。

【上の巻】

 遊女の小春と紙屋治兵衛は、心中の約束をするまでの深い仲になっていました。そんなある日、小春は武士の客から、治兵衛と別れるなら手助けをしようと持ちかけられ、実は心中を取り止めたいと思っていることを語ります。それを立ち聞きしていた治兵衛は、裏切られた怒りから、窓越しに小春を刺そうとします。しかし、武士に取り押さえられ、店先の格子に腕をくくりつけられてしまいます。

 そこへ、小春に横恋慕する太兵衛(たへえ)が通りかかり、治兵衛を罵ります。すると、客の武士が駆け出て、太兵衛を踏みつけました。実はこの武士は、弟の遊郭通いを心配し、変装して様子を窺いに来た、治兵衛の兄・孫右衛門でした。兄の意見により、治兵衛は小春と縁を切ることを誓い、小春もそれに従います。孫右衛門は、小春が隠し持っていた手紙から何事かを悟りますが、そのまま2人を別れさせます。
〈北新地河庄の段〉

【中の巻】

 紙屋では、治兵衛の女房おさんが、商売を切り盛りしていました。おさんの母は治兵衛の叔母で、2人は従兄妹同士の夫婦です。治兵衛が小春と別れた数日後、小春が客に身請け(高額な代金を払って遊女をやめさせ、身柄を引き受けること)されるという噂が立ちます。噂を聞いた治兵衛は、その客とは太兵衛のことであろうと考え、炬燵(こたつ)で涙を流していました。

 その姿を見て嘆くおさんに、治兵衛は「太兵衛に身請けされるなら死ぬ」と言っていた小春の心変りが悔しいだけだと語りました。おさんは驚き、小春は死ぬつもりだと言い出します。実は、夫と小春の心中を心配したおさんは、小春に手紙を出し、夫と縁を切るように頼んでいたのです。孫右衛門が見たのはその手紙で、小春が心変りしたようにみえたのは、治兵衛を死なせないことを、おさんと約束したためだったのでした。

 おさんは、小春を死なせては女同士の義理が立たないと、夫に小春を身請けさせ、その命を助けようとします。身請けの手付け金750匁(約120万円)のため、自分や子どもの着物を質に入れようとするおさんですが、折悪くおさんの父・五左衛門が訪れます。以前から、治兵衛の遊郭通いに立腹していた五左衛門は、娘を連れ戻しに来たのです。おさんは抵抗しますが、五左衛門に無理矢理連れて行かれてしまいます。
〈天満紙屋内の段〉

【下の巻】
 おさんと別れさせられ、小春の身請けも叶わなくなった治兵衛は、当初の約束通りに小春と心中することを決意。網島(あみじま)の大長寺(だいちょうじ)に辿り着いた2人は、おさんへの義理から、2人別々の場所で息を引き取るのでした。
〈大和屋の段・道行名残の橋づくし〉

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