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主要作品紹介【しんじゅうてんのあみじま】

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着物を質に入れようとするおさん

コラム

おさんと小春の「女同士の義理」
  •  近松は、本作において、おさんと小春(こはる)の「女同士(おんなどし)の義理」を、大きなテーマとしています。「義理」とは、人間として、守るべき正しい道や、果たすべき務めを意味する言葉です。
  •  おさんは小春に、

    「切られぬところを思い切り、夫の命を頼む、頼む」

    (夫との恋を諦めて、夫の命を助けて下さい)と手紙を出しました。それに対し、小春は

    「身にも命にも替えぬ大事の殿なれど、引かれぬ義理合い、思い切る」

    (命より大切な恋人ですが、引くに引かれぬ義理もあり、諦めます)という返事を書きます。
  •  小春は、恋しい治兵衛(じへえ)と縁を切ろうとして、治兵衛から裏切り者と罵られ、蹴られても、本心を隠し、じっと耐えました。治兵衛と別れ、その命を助けるという、おさんとの約束を守るためです。一方のおさんは、小春が死ぬつもりだと気付くと、

    「この人(小春)を殺しては、女同士の義理立たぬ」

    と、自分の着物を質に入れてまで、小春を身請けし、命を救おうとします。さらに、身請けした小春が治兵衛のものになったら、お前はどうするのだという治兵衛の問いに、

    「子供の乳母か、飯炊(ままたき)か、隠居なりともしましょう」

    と、泣き伏すのです。
  •  このように、治兵衛を愛する2人の女性が、互いに誠意を尽くしたにも関わらず、治兵衛は小春と心中することになってしまいます。その最後の場面でも、近松は「女同士の義理」ということを活かし、特徴的な心中を描きました。小春はおさんへの義理を思い、2人別々の場所で死ぬことを希望。これを承知した治兵衛は、小春を刺した後、離れた場所で首を吊って自害するのです。

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