着物を質に入れようとするおさん
「切られぬところを思い切り、夫の命を頼む、頼む」
(夫との恋を諦めて、夫の命を助けて下さい)と手紙を出しました。それに対し、小春は「身にも命にも替えぬ大事の殿なれど、引かれぬ義理合い、思い切る」
(命より大切な恋人ですが、引くに引かれぬ義理もあり、諦めます)という返事を書きます。「この人(小春)を殺しては、女同士の義理立たぬ」
と、自分の着物を質に入れてまで、小春を身請けし、命を救おうとします。さらに、身請けした小春が治兵衛のものになったら、お前はどうするのだという治兵衛の問いに、「子供の乳母か、飯炊(ままたき)か、隠居なりともしましょう」
と、泣き伏すのです。