床本(ゆかほん)を置く「見台(けんだい)」から狐を登場させるこのケレンは、床(ゆか)を延長して、大勢の太夫と三味線が並ぶ四段目「道行初音旅」に用いられます。義経を追って旅をする静が鼓を打つと、その音色に誘われた狐が突然姿を現します。

観客から見て一番奥に座る太夫の台の下には、狐を持った人形遣いがじっと出番を待っています。狐、狸、妖怪の出入りや、正体を現す際に演奏される下座囃子「来序(らいじょ)」と変身の暗示や怪奇味を表現する下座囃子「ドロドロ」が入ると、太夫は床本を引いて、後ろへ下がります。

太夫は、二つに割れる特殊な見台を使用しています。

見台が割れ中から狐が登場します。人形遣いは舞台から一段低くなっている船底へ下り、舞台中央へと移動します。
※ケレンの演出は各公演によって異なります。