作品のあらましお家騒動で繰り広げられる女たちの駆け引き
17世紀半ばに世間を騒がせた、仙台藩のお家騒動を脚色した時代物。大坂(大阪)で作られた作品が多いなか、歌舞伎の演目を文楽に移した、江戸生まれの作品です。お家の乗っ取りをたくらむ悪人たちと、幼君を守る乳母や忠臣たちとの息詰まる争いを描いています。
幼い主君の毒殺を防ごうとする乳母・政岡(まさおか)と、悪人側の女たちとの奥御殿での駆け引きを描いた「竹の間(たけのま)の段」や「御殿(ごてん)の段」「政岡忠義(まさおかちゅうぎ)の段」、妖術を使う悪人・仁木弾正(にっきだんじょう)と忠臣側との戦いを描いた「床下の段」などがよく上演されます。
見どころ「政岡忠義の段」幼君を守るため我が子を犠牲にした母親の嘆き
政岡の子・千松(せんまつ)は、毒入りの菓子を食べたうえ、悪人の一味・八汐(やしお)によって目の前でなぶり殺しにされました。それにもかかわらず政岡は平静なまま、涙一つ見せずに耐えました。すると仲間だと思った悪人から陰謀を打ち明けられます。
そんな彼女も、一人きりになったとき、人目を忍びながら我が子の亡骸を抱き、自らを責めつつ深く嘆き悲しむのでした。深い真情を切々と述べる「クドキ」という女方の見せ場です。
平成25年(2013年)4月6日~29日
国立文楽劇場 第130回文楽公演
『伽羅先代萩』政岡忠義の段
舞台映像おもな出演者
[太夫]
【3】豊竹 呂勢太夫
[三味線]
鶴澤 清治
[人形役割]
乳人政岡:吉田 和生