ユネスコ無形文化遺産 文楽への誘い An introduction to BUNRAKU

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早わかり

語り手と三味線弾き(ひき)、そして人形遣い(つかい)が、息を合わせて一つの物語を演じる、伝統的な舞台芸能、それが文楽です。全身で声を振り絞る語りや、力強さと繊細さを兼ね備えた三味線の響き、そして人形の美しい動きは、観る者を圧倒します。文楽は、他に類のない独自のスタイルを持った人形劇で、平成20年(2008年)にユネスコの「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」にも記載されました。

江戸時代に形づくられた伝統芸能

『牟芸古雅志』
曽根崎心中口上番付
(国立劇場所蔵)

文楽は、もともと人形浄瑠璃(じょうるり)といい、1600年頃に生まれました。物語に節(ふし)をつけて聴かせる浄瑠璃という芸能の演奏に、三味線が用いられるようになり、古くからあった人形操り(あやつり)と結びついたのです。語りの名人であった竹本義太夫(たけもとぎだゆう)が大坂(大阪)に竹本座を開き、近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)が書いた戯曲を上演し、たいへんな人気を呼んだことで、今につながる形ができました。

三位一体で演じられる総合芸術


演じられるのは、世の無常や人の業、悲しい恋や親子の別れなどを描いた、シリアスで複雑な物語ですが、軽妙なユーモアや華やかな舞踊なども大切な要素です。戯曲が重視され、語り手をとくに太夫(たゆう)と呼んでいます。太夫は、三味線弾きの演奏とともに、情景の描写や人物の言葉を一人で語り分けます。そして、この義太夫節(ぎだゆうぶし)という浄瑠璃で描かれる物語を、視覚的に表現するのが人形です。一体の人形を三人で遣うやり方で、美しく精妙な動きが生み出されます。