ユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKIユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKI

演出と音楽

さまざまな情景の表現天候を表す演出

季節や天候を表す際には、舞台装置だけでなく、音楽や効果音も伴った演出が行われます。たとえば、『奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)』という演目には、雪のなか、眼の不自由な女性が、娘に手を引かれながら、縁を切られた両親のもとを訪れる場面があります。

平成13(2001)年1月
国立劇場大劇場 第223回歌舞伎公演
『奥州安達原』「環宮明御殿の場」
貞任妻袖萩:中村 吉右衛門【2】

小道具

雪が降る様子は、舞台の上部に吊った籠から、小さく切った白い紙を散らすことで表現します。籠に付けた紐を舞台の袖から引いて揺らす、この仕掛けを使って、たとえば『祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき: 通称「金閣寺(きんかくじ)」』という演目では、桜の花びらを降らせています。

大道具

地面や床を表すために舞台に敷く、ねずみ色や茶色の布を「地絣(じがすり)」といいます。雪の積もった状態は、「雪布」という白い「地絣」を敷いて表現します。

効果音

現実の雪は音もなく降りますが、歌舞伎では「雪音(ゆきおと)」という効果音によって、雪が降るときの気配のようなものを表現します。「雪音」は、先の部分を布や綿で包んだ撥(ばち)で軽く大太鼓を叩く、柔らかい音ですが、激しく吹き付ける様子は、反対側の手で長い撥を持ち太鼓の表面にあてて押さえ、より強い響きを加えることで表現します。