ユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKIユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKI

演出と音楽特徴的な表現

六方ろっぽう

手足の動きを誇張して、歩いたり走ったりする様子を象徴的に表現した演出です。

おもに「荒事(あらごと)」の役が「花道(はなみち)」を引込む時に演じられ、力強さと荒々しさを観客に強く印象付けます。

「六方」には、豪快な動作の中に狐のしぐさを垣間見せる「狐六方(きつねろっぽう)」や、手の動きは盗賊らしく大きく、足の動きは遊女という「傾城六方(けいせいろっぽう)」など、さまざまな種類があります。中でも有名なものとして、『勧進帳(かんじんちょう)』の弁慶(べんけい)などで行なわれる「飛び六方(とびろっぽう)」が挙げられます。

平成8(1996)年1月
国立劇場大劇場 第197回歌舞伎公演
『雷神不動北山桜』「北山岩屋の場」[鳴神]
鳴神上人:市川 團十郎【12】

『鳴神(なるかみ)』の幕切の「六方」。鳴神上人が、雲の絶間姫(くものたえまひめ)に騙されたことを知り、怒りを爆発させて後を追っていく様子を象徴的に表現しています。