ユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKIユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKI

演目主な演目

恋飛脚大和往来こいびきゃくやまとおうらい・こいのたよりやまとおうらい

世話物

作品のあらまし

『恋飛脚大和往来』井筒屋内
国立劇場所蔵(BM002282)

大坂の飛脚問屋(ひきゃくどんや)の若旦那・忠兵衛(ちゅうべえ)と遊女・梅川(うめがわ)の心中を描いた「世話物」の「義太夫狂言」です。

梅川と馴染みの忠兵衛が、友人の八右衛門(はちえもん)の挑発に乗り、梅川の身請け(みうけ)をする金として、飛脚屋で預かっていた公金に手を付けてしまう通称「封印切(ふういんきり)」や、罪人となった忠兵衛が、梅川とともに故郷の大和(現在の奈良県)を訪ね、父・孫右衛門(まごえもん)と再会する通称「新口村(にのくちむら)」の場面が上演されます。

「封印切」の最大の見せ場は、忠兵衛が封印を切る場面です。大勢の人がいる店先で、自分の持っている小判が偽物だと八右衛門に言われた忠兵衛は、カッとなって否定しているうちに思わず小判の封を切ってしまいます。この直後に速いテンポで演奏される「竹本(たけもと)」の三味線が、忠兵衛の後悔の念を効果的に表現しています。

『恋飛脚大和往来』井筒屋内
国立劇場所蔵(BM002282)

見どころ

この作品は、おもに上方[京・大坂]で上演を重ねてきました。忠兵衛の役は、上方の「和事(わごと)」を代表する役の1つで、「二枚目(にまいめ)」の色男でありながらいくぶん滑稽に演じられるところに特徴があります。こうした忠兵衛役の特徴は、「花道(はなみち)」からの出で、自らを鎌倉時代(12~14世紀)の武将で美男子の代名詞だった梶原源太(かじわらげんだ)になぞらえて、「梶原源太は、わしかしらんて」とおどける場面によく現れています。