ユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKIユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKI

演目代表的な演目

番町皿屋敷ばんちょうさらやしき

新歌舞伎

作品のあらまし

1916(大正5)年に初演された岡本綺堂(おかもときどう)作の「新歌舞伎」の代表作の1つです。

町奴との喧嘩に明け暮れる旗本の青山播磨(あおやまはりま)は、相思相愛の腰元のお菊(おきく)が家宝の皿を割ることで、自分の愛情を試したことを知ります。疑われたことを恥じた播磨は、お菊を切り殺して井戸に投げ捨てるというストーリーです。

歌舞伎には、元々『播州皿屋敷(ばんしゅうさらやしき)』という怪談劇があります。この作品には、青山鉄山(あおやまてっさん)がお菊という腰元を吊るし切りにして、井戸に投げ捨てるという場面があります。『番町皿屋敷』は、この作品の趣向を生かした上で、近代的な恋愛をテーマとして書き替えた点に特徴があります。

見どころ

平成6(1994)年7月
国立劇場大劇場 第45回歌舞伎鑑賞教室
『番町皿屋敷』「番町青山家の場」
青山播磨:中村 梅玉【4】
腰元お菊:中村 松江【5】(現:中村 魁春【2】)

「新歌舞伎」とは、明治時代の後期以降に歌舞伎の専門の作者ではなく、外部の文学者・作家によって書かれた作品をさします。岡本綺堂は、「新歌舞伎」の代表的な作者の1人で、詩情豊かに近代の恋愛などを描いたせりふに特徴があります。この特徴は、青山播磨の長ぜりふにある「一生に一度の恋」という一節からもうかがうことができます。