ユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKIユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い INVITATION TO KABUKI

演目主な演目

梅雨小袖昔八丈つゆこそでむかしはちじょう

世話物/通称 | 髪結新三(かみゆいしんざ)

作品のあらまし

河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)作の「世話物」で、主人公の名前から通称『髪結新三(かみゆいしんざ)』とよばれています。

新三は、白子屋(しらこや)の手代・忠七(ちゅうしち)をそそのかして、店の娘のお熊を連れ去ります。新三は、掛け合いにきた親分の弥太五郎源七(やたごろうげんしち)を追い返しますが、続いてやって来た家主の長兵衛(ちょうべえ)には歯が立たず、30両と引き換えにお熊を手放すことにします。しかし長兵衛は、新三をやり込めて15両と鰹(かつお)を半分せしめます。やがて新三は、顔を潰された恨みから復讐の機会を狙っていた源七に待ち伏せをされて討たれます。

通常、忠七をそそのかす「白子屋見世先の場(しらこやみせさきのば)」から、源七の復讐を受ける「深川閻魔堂橋の場(ふかがわえんまどうばしのば)」までが上演されます。

見どころ1傘尽くしの名ぜりふ

昭和63(1988)年4月
国立劇場小劇場 第148回歌舞伎公演
『梅雨小袖昔八丈』「永代橋川端の場」
髪結新三:中村 勘九郎【5】(中村 勘三郎【18】)
白子屋手代忠七:中村 橋之助【3】(現:中村 芝翫【8】)

「永代橋の場(えいたいばしのば)」で、新三が忠七に対して投げつけるように言う長ぜりふがあります。七五調のリズムの中に、傘に関連する言葉が散りばめられている名ぜりふとして有名です。

見どころ2

歌舞伎は、季節感を重視する演劇です。この作品は初夏の設定ですが、それを際立たせているのが「富吉町新三内の場(とみよしちょうしんざうちのば)」に登場する初鰹売り(はつがつおうり)です。江戸っ子はその季節の走りにとれた野菜や果物、魚などを「初物(はつもの)」として珍重する習慣がありました。この場面で新三が買った初鰹は、後で家主長兵衛とのやり取りでも重要な小道具となります。季節感を表すと同時に、物語の展開にも効果的に使用される初鰹から、黙阿弥の名作者ぶりがうかがえます。