ユネスコ無形文化遺産 文楽への誘い An introduction to BUNRAKU

前のページにもどる

演目

著名な作者

文楽の歴史のなかでも、とりわけ大切な役割を果たした三人の作者。彼らが書いた作品は、文楽だけにとどまらず、歌舞伎などへも移されて、今もさかんに上演されています。

日本を代表する劇作家近松門左衛門 ちかまつもんざえもん生没年:承応2年(1653年)〜享保9年(1724年)

太夫(たゆう:語り手)である竹本義太夫(たけもとぎだゆう)のために多くの名作を書き、現在の文楽の形を築き上げたのが、近松門左衛門です。それまでの演目は、歴史上の事件や人物を扱った「時代物」でしたが、近松は同時代の都市に生きる庶民の人情や恋愛を描いた「世話物」という新しい分野を確立させました。

武士の出身で、作品に署名を入れるなどして、作者の地位を高めることにも力を尽くしました。美しい文章で書かれたその作品は、文学としての価値も高く、日本を代表する劇作家といえます。

主な作品: 『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』『平家女護島(へいけにょごのしま)』『曽根崎心中(そねざきしんじゅう)』『冥途の飛脚(めいどのひきゃく)』

文楽の全盛期を支えた劇作家並木千柳 なみきせんりゅう、並木宗助(そうすけ)・宗輔の別名あり生没年:生年不詳~寛延4年(宝暦元年:1751年)

文楽がとくに人気を集めた18世紀半ば。複雑で長大な作品を、複数の作者が共同して執筆するやり方が多くなるなか、そのリーダーである立作者(たてさくしゃ)として腕を振るったのが、並木千柳です。

僧侶の出身で、競い合っていた豊竹座と竹本座の二つの劇場で立作者をつとめます。のちに三大名作として知られる時代物の作品(『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』)をはじめ、重厚な構成で人の業の深さや世の不合理などを描く戯曲を、次々と生み出しました。

主な作品: 『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』

転換期に輝きをもたらした劇作家近松半二 ちかまつはんじ生没年:享保10年(1725年)〜天明3年(1783年)

18世紀後半、歌舞伎が勢いを増し文楽の興行が厳しくなる時代に、大きな輝きをもたらした作者が、近松半二です。

学者の家柄の出身で、近松門左衛門にあやかった筆名を使い、時代物・世話物の双方に名作を残しました。雄大で入り組んだ筋立てや、舞台の鮮やかな構成、謎解きやどんでん返しなどの技法を駆使した作品は、今も盛んに上演されています。

主な作品: 『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』『新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)』『伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)』