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矢の根

【やのね】

【YANONE】

 
  • 矢の根を研ぐ曽我五郎 『矢の根』2代目尾上左近(4代目尾上松緑)の曽我五郎 1990年(平成2年)1月国立劇場(Y_E0100158000004)
 歌舞伎十八番【かぶきじゅうはちばん】の一つ。
 鎌倉【かまくら】時代の曽我十郎【そがのじゅうろう】、五郎兄弟による敵討【かたきう】ちは、『曽我物語【そがものがたり】』によって一般にも広く知られていました。『矢の根』は弟の五郎を主人公とした作品で、2代目市川團十郎【いちかわだんじゅうろう】が1729年(享保【きょうほう】14年)に初めて演じて以来、生涯【しょうがい】に4回もつとめた得意な役です。
 五郎は家で大きな矢の根を研いでいます。父の敵、工藤祐経【くどうすけつね】を討つ準備のためです。そのうち五郎が寝【ね】てしまうと、夢の中に兄の十郎が現れます。十郎は、「今、工藤の館に捕【つか】まっているから助けに来てくれ」と言い残して消えてしまいます。五郎は跳【は】ね起き、通りがかった馬子【まご】から奪【うば】った馬に乗って、十郎を救いに駆【か】け出します。
 写真のように筋隈【すじくま】をとる『矢の根』の五郎は、『暫【しばらく】』の主人公と同じく典型的な荒事【あらごと】の役です。

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