本性を顕すときに行われるぶっ返り 『鬼一法眼三略巻』7代目尾上菊五郎の大蔵卿 1985年(昭和60年)11月国立劇場
一瞬【いっしゅん】にして衣裳【いしょう】を替【か】える「引抜【ひきぬき】」の一種です。上半身の部分を仮に縫【ぬ】ってある糸を抜いて、ほどけた部分を腰【こし】から下に垂らして衣裳を替えます。「見顕し【みあらわし】」といって、隠【かく】していた本性を顕したときに使われる方法です。
映像は『鬼一法眼三略巻【きいちほうげんさんりゃくのまき】』の一条大蔵卿【いちじょうおおくらきょう】です。大蔵卿は、長年「作り阿呆【つくりあほう】」によって本性を隠しているという設定であり、この場面で本性を顕したことを印象づけるために「ぶっ返り」が行われます。