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鳴神

【なるかみ】

【NARUKAMI】

 
  • 怒りをあらわにした鳴神上人 『雷神不動北山桜』12代目市川團十郎の鳴神上人 1996年(平成8年)1月国立劇場(Y_E0100197000303)
 歌舞伎十八番【かぶきじゅうはちばん】の一つ。
初代市川團十郎【いちかわだんじゅうろう】が、初めて鳴神上人【なるかみしょうにん】の役を演じたのは、1684年(貞享【じょうきょう】元年)のことです。その後2代目團十郎は、何度もつとめ得意な役としました。現在上演されている『鳴神』は、1742年(寛保【かんぽう】2年)に2代目團十郎が演じた『雷神不動北山桜【なるかみふどうきたやまざくら】』という作品の一部です。この作品には、同じ歌舞伎十八番【かぶきじゅうはちばん】の『毛抜【けぬき】』や『不動【ふどう】』も入っていました。
 鳴神上人は朝廷【ちょうてい】をうらみ、竜神【りゅうじん】を滝【たき】つぼに閉じ込めることで、雨が降らないようにしました。こまった朝廷では、雲の絶間姫【くものたえまひめ】という女性を鳴神上人のところへ使者として向かわせます。鳴神上人を油断させて、竜神を逃【に】がそうというわけです。鳴神上人は、姫を警戒【けいかい】していましたが次第に心をゆるし、飲んだことのない酒を飲まされて、寝【ね】てしまいます。そのすきに姫は、竜神を放って自分も逃げてしまいます。激しく雨の降る中、目覚めた鳴神上人は、姫にだまされたこと知って激しく怒【いか】り、止める弟子を相手に大暴れをして、姫を追いかけていきます。怒りの表現は荒事【あらごと】で演じられ、最後は花道【はなみち】を六方【ろっぽう】で引込むことで、姫を追いかける様子を表現します。
 8代目團十郎が演じた後、上演が途絶【とだ】えていましたが、1910年(明治43年)に2代目市川左團次【いちかわさだんじ】が復活させました。現在でも人気が高く、度々上演されます。また、原作の『雷神不動北山桜』は、1967年(昭和42年)国立劇場【こくりつげきじょう】で2代目尾上松緑【おのえしょうろく】によって復活されました。

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