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「修羅物(しゅらもの)」「修羅能(しゅらのう)」とも呼ばれます。『平家物語』の登場人物の霊が現れ、自分の最期の場面や、死後の苦しみを見せる能です。武士は殺生を繰り返した罪で、死後は戦いにあけくれる「修羅道」へ堕ち、苦しみ続けると考えられていました。『敦盛(あつもり)』『清経(きよつね)』『忠度(ただのり)』『頼政(よりまさ)』『実盛(さねもり)』など、世阿弥の名作が多いジャンルです。平家の公達(きんだち)の霊をシテとする「負け修羅」に対し、源義経(みなもとのよしつね)がシテの『八島(やしま)』、坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)がシテの『田村』、梶原景季(かじわらかげすえ)をシテとする『箙(えびら)』の3曲を「勝ち修羅」と呼ぶことがあります。また、『巴(ともえ)』のように女性をシテとする曲もあります。
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