朗詠は、漢詩の詞章に曲節を付け、自由なリズムで歌われます。平安時代以降は、管絃*1の遊びの折などに行われました。その詞章となる詩歌を集めたものに『和漢朗詠集 (わかんろうえいしゅう)』*2などがあります。現在では、催馬楽と同様に、管絃の演奏会で取り上げられています。伴奏は、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)の三管です。
- *1管絃:
雅楽で、舞を伴わない、楽器だけによる演奏形態。 -
*2『和漢朗詠集 (わかんろうえいしゅう)』:
藤原公任(ふじわらきんとう)[966- 1041]による撰定で集成されました。タイトルの「和漢」は、和歌と漢詩を意味するもので、和歌216首と漢詩588詩、全804首が、上下2巻に収められています。上巻では、春夏秋冬の四季の歌を詠んだもの、下巻では、風、雲、晴、暁、松…など、種々の歌が詠まれています。また、下巻の「祝」の部には、日本国歌『君が代』の原典となった歌が記されています。重要文化財『和漢朗詠集 巻下』 東京国立博物館所蔵