一中節(いっちゅうぶし)

一中節は、元禄期[1688-1704]に、都一中(みやこいっちゅう)[1650-1724]が京都で始めた浄瑠璃(じょうるり)です。座敷で語ることが多く、人形芝居で語られることはありませんでした。京都や江戸で歌舞伎に出ることもありましたが、京都では次第に衰えてしまいました。一中節は、旋律の線が穏やかなこと、声や中棹(ちゅうざお)の三味線の音に厚みがあることが特徴です。後に、都一中の弟子、宮古路豊後掾(みやこじぶんごのじょう)[?-1740]が名古屋や江戸で歌舞伎に出て大評判となりました。この語りが豊後節(ぶんごぶし)です。しかし、哀艶*1で扇情的な語り口のため世間で心中事件が増えたとして弾圧を受け、豊後節は衰退してしまいます。

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一中節『松羽衣』[『都羽二重拍子扇』の内]
国立音楽大学附属図書館 竹内文庫所蔵

松羽衣[『都羽二重拍子扇』の内]

詞章の横には、三味線の調弦の種類「二上り(にあがり)」や、語り手を示すシテ、ワキが記され、曲調に変化を持たせることがわかります。詞章は、遠くに富士山が見える海辺の、松原や波が美しいのどかな春景色を描いています。

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