中世の小歌(ちゅうせいのこうた)

室町時代、上方を中心に小歌が流行しました。「小歌」とは、本格的で伝統的な歌曲「大歌(おおうた)」に対し、民間で歌われる世俗的な歌謡や、猿楽能(さるがくのう)*1田楽能(でんがくのう)*2の謡(うたい)、狂言小歌 (きょうげんこうた)などをさします。1518年[永正15年]に小歌に関する最も古い文献、『閑吟集(かんぎんしゅう)』*3が成立しました。詩型は、七五七五形、七七七七形、七五七七形など雑多です。「狂言」の中には、当時流行していた歌謡を劇中歌の形でそのまま取り入れたものがあり、中世の小歌の趣きを現在に伝えています。

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『閑吟集』
[続群書類従(ぞくぐんしょるいじゅう)]
宮内庁書陵部所蔵

見開きの右側は序文で、「詩経と同数を集め、閑吟集と命名する」と記されています。左頁に見られる赤い小さな「小」の文字は「小歌」を示します。『閑吟集』には、猿楽能(さるがくのう)や田楽能(でんがくのう)の謡(うたい)、狂言小歌 (きょうげんこうた)、こきりこを打ちながら行う歌舞、武家・貴族や僧侶の間に流行した宴席の歌、漢詩による吟詩句(ぎんしく)など、多種多様な「小歌」が収録されており、その多くは、恋の歌です。

『鷺流狂言伝書(さぎりゅうきょうげんでんしょ)』
天理大学附属天理図書館所蔵

伝書(でんしょ)とは、師匠が流派の後継者などに授ける奥義や秘伝を記した本です。写真は『七ツニ成ル子』の詞章が記された伝書で、詞章横の赤い点「ゴマ」は音節を、小さい文字は所作や演出に関する注意事項を示します。鷺流(さぎりゅう)は、かつて大蔵流(おおくらりゅう)、和泉流(いずみりゅう)と並ぶ3大流派の1つでしたが、現在は、新潟県佐渡、佐賀県、山口県の3カ所のみに伝えられています。

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