田楽でんがく

 古来より国や人々の生活を支えていた稲作にかかわる行事や祭礼などから生まれた歌舞をいいます。もとは五穀豊穣を神に願う人々の儀礼から生まれたと考えられ、稲作の作業をするさまを演じることで、秋の豊作を予祝するものと、田の神をもてなすために歌をうたい、舞いながら田植えをすることで豊作を願うものがあります。

 また、平安時代には、こうした稲作の豊作を願うための歌舞が流行し、京都中の人々を身分の上下を問わずに巻き込んで、のちに“永長の大田楽(えいちょうのおおでんがく)”とよばれる田楽が行われました。このできごとは、これまで儀式として行われていた歌舞が芸能としての色合いを強め、後に曲芸や能などを加えて田楽を職業として演ずる田楽法師(でんがくほうし)が生まれる流れを作りました。
 このように田楽とよばれるものには、豊作を予祝する田遊びや田植踊、実際に田植えをする田植神事、そしてこれらの田に関わる歌舞が芸能化した田楽と大きく分けることができます。

田植と踊りの様子
「月次風俗図屏風」
東京国立博物館所蔵(C0013363)
Image:TNM Image Archives

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