民俗芸能が生まれる環境

 日本は、周囲を海に囲まれ、面積のおよそ3分の2を山地が占めるなど、自然に恵まれた国です。北海道・本州・四国・九州のほか、数多くの島々が南北に連なる日本では、地域によって気候や地形など、人々の生活環境が異なるため、地域独自の民俗芸能が生まれています。

  • 北海道

    面積のおよそ7割を森林が占め、三方を海に囲まれています。都から遠く離れた地であることから独自のアイヌ文化が生まれたほか、のちに移り住んだ人々によって日本各地の文化が伝わりました。

  • 東北地方

    南北に走る険しい奥羽(おおう)山脈は、山伏(やまぶし)たちの恰好の修行場となり、麓(ふもと)の人々と関わることで信仰や文化を伝えました。またおもに日本海側は海路、太平洋側は陸路を通じて上方(かみがた)などほかの地域との文化の交流もありました。

  • 関東地方

    広く肥沃(ひよく)な関東平野は人々にとって暮らしやすく、各地に集落ができ、互いに影響し合いながら文化を築きました。そして江戸に幕府が置かれたことで、日本各地の文化が伝わるようになりました。

  • 中部地方

    日本アルプスとよばれる高い山々が中央部に連なります。北側の日本海や南側の太平洋へと河川が流れ、また中山道(なかせんどう)などの陸路が東西を繋ぐなど、南北・東西を行き来する人々から文化が伝わる地域です。

  • 近畿地方

    古代から中世にかけて日本の中心地として栄えました。都となった奈良や京都で生まれ、発展した文化や信仰は、陸路や海路を通じて、日本各地に伝わっていきました。また大きな港のあった大阪は経済の中心を担いました。

  • 中国・四国地方

    中国山地と四国山地に挟まれた瀬戸内海は、早くから上方(かみがた)と九州を結ぶ海の道として発展し、文化が開けました。またそれぞれの山地を修行場とした山伏(やまぶし)が、麓(ふもと)の人々に独自の信仰や文化をもたらしました。

  • 九州・沖縄地方

    中国大陸や朝鮮半島に近いことから国外との窓口となり、その文化を都などに伝えたほか、その影響を受けた文化も生まれました。一方で九州山地など山深い地域では、外部との関わりが少ないことから古い文化も守られています。また沖縄は、本土だけでなく国外からの影響を受け、独自の文化を築いています。

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