三味線弾きは、物語の内容をより効果的に伝えるため、詞章(ししょう:文章)に描かれていない、その場の雰囲気を演奏します。
霊異現象を弾く
『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』「河連法眼館(かわつらほうげんやかた)の段」より、霊力を持った狐が物語る場面のあやしげな雰囲気を表現します。
悲しい様子を弾く
『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』「寺子屋(てらこや)の段」の終わりには、「いろは送り」とよばれる亡くなった子を見送る場面があります。その冒頭の演奏では、悲しく、切ない雰囲気を表現しています。