三味線弾きは、物語の内容をより効果的に伝えるため、その場の雰囲気を音で表現します。
『菅原伝授手習鑑
(すがわらでんじゅてならいかがみ)』
「寺子屋(てらこや)の段」より
滑稽な場面を弾く
菅丞相(かんしょうじょう:菅原道真[すがわらのみちざね])の子・菅秀才(かんしゅうさい)を探している春藤玄蕃(しゅんどうげんば)は、武部源蔵(たけべげんぞう)の寺子屋で学ぶ子供たちの中にいないか調べています。ここでは15才になっても寺子屋に通う「よだれくり」と、その父親のやり取りを描いています。
緊張感のある場面を弾く
かくまっている菅丞相の子・菅秀才の首を出すよう命じられた源蔵夫婦は、身代りの首を差し出しました。首実検(くびじっけん:首が本人であるか確認すること)をする松王丸(まつおうまる)が、審判をくだす場面です。ここでは、太夫と三味線がそれぞれの絡み合う心情を語り分け、また弾き分けて表現することで、より緊張感が増しています。