人形浄瑠璃 文楽 BUNRAKU

三味線:技を聴く

心情を弾く

三味線弾きは、演奏によって場面の情景や雰囲気から、登場人物像や感情の動きまでも表現し、観客に作品内容を伝える上で重要な役割を果たします。

泣き

男の泣き

低く押さえた音で、感情の波が押し寄せる様子を表現します。

女の泣き

高めの音で、感情のままに悲嘆にくれる様子を表現します。

嘆き

男の嘆き

『絵本太功記』尼ヶ崎の段より

さすが勇気の光秀も、親の慈悲心子故の闇、輪廻(りんね)の絆(きずな)に締め付けられ、堪え兼ねてはらはらはら、雨か涙の汐境(しおざかい)、浪立ち騒ぐ如くなり

『絵本太功記(えほんたいこうき)』「尼ヶ崎(あまがさき)の段」より、多大な家族の犠牲の上にしか自分の大義の達成はないと苦悶する武智光秀(たけちみつひで)が、ついに激しく涙を流す場面です。

女の嘆き

『菅原伝授手習鑑』寺子屋の段より

死に顔なりとも今一度見たさに、未練と笑うてくださんすな、包みし祝儀はあの子が香典、四十九日の蒸し物まで持つて寺入りさすといふ悲しい事が世にあらうか。育ちも生れも賤(いや)しくば殺す心もあるまいに、死ぬる子は媚(みめ)よしと美しう生まれたが、可哀やその身の不仕合はせ、何の因果に疱瘡(ほうそう)まで仕舞うた事ぢや」 とせき上げて、かつぱと伏して泣きければ

『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』「寺子屋(てらこや)の段」より、恩義のために我が子を犠牲にした母親の嘆きを描く場面です。

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