人形浄瑠璃 文楽 BUNRAKU

作品:世話物

冥途の飛脚めいどのひきゃく

概要

初演:正徳元年(1711)、大坂竹本座
作者:近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)

宝永6年(1709)頃に起きた亀屋忠兵衛(かめやちゅうべえ)の横領事件を題材にした上中下三巻の作品です。
のちに菅専助(すがせんすけ)らによる改作『傾城恋飛脚(けいせいこいびきゃく)』(安永2年[1773])となり、さらに歌舞伎で『恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)』(寛政8年[1796])が作られました。原作では忠兵衛の身を案じる友人として登場する男が、改作では敵役として、また原作では逃げる様子を雨の中とするのに対し改作では雪景色とするなど、より劇的に描かれています。

映像の場面

遊女たちの前で金のことを暴露され、後に引けなくなった忠兵衛は、丹波屋八右衛門(たんばやはちえもん)の忠告を聞き入れず、預り金の封を切ってしまいます。

『冥途の飛脚』封印切の段
平成29年(2017)2月
国立劇場小劇場 第198回文楽公演

あらすじ封印切の段ふういんきりのだん

飛脚問屋亀屋の養子・忠兵衛は、恋仲の遊女・梅川(うめがわ)が身請けされそうになり、なりふり構わず友人の丹波屋八右衛門に金を借ります。八右衛門は、これ以上過ちを犯さないよう、茶屋で忠兵衛の話をしますが、立ち聞きした忠兵衛は、悪口を言われたものと逆上し、持っていた預り金の封印を切り、養子の持参金だと偽って梅川を身請けします。飛脚問屋が預り金の封印を切ることは、公金横領となる重罪でした。忠兵衛は梅川に金が預り金であることを明かし、死を覚悟した2人は、生きられるだけは生きようと決意して忠兵衛の故郷の新口村(にのくちむら)へと向かうのでした。

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