人形浄瑠璃 文楽 BUNRAKU

作品:世話物

曽根崎心中そねざきしんじゅう

概要

初演:元禄16年(1703)、大坂竹本座
作者:近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)

元禄16年(1703)4月に、大坂北新地天満屋の遊女・お初(おはつ)と、醬油問屋平野屋の手代・徳兵衛(とくべえ)が、曽根崎天神の森で心中した事件を脚色した上中下三巻の作品です。事件の1か月後に上演されて人気を博しました。以後は主に改作が上演されていましたが、昭和30年(1955)に野澤松之輔の脚色・作曲で復活され、以後、繰り返し上演されています。
「この世の名残、夜も名残」で始まる心中に向かう道行(みちゆき:登場人物が目的地に向かう道中の情景を描いた場面)の詞章(ししょう:文章)は名文として知られています。

写真の場面

お初の打掛(うちかけ:裾の長い羽織)の中に隠れて縁の下に忍んだ徳兵衛は、お初の足首を自分の喉に当て、死の覚悟を伝えます。

『曾根崎心中』天満屋の段
平成29年(2017)4月
国立文楽劇場 第146回文楽公演(YRD0100146500280)

あらすじ天満屋の段てんまやのだん

茶屋の天満屋では、遊女たちがお初と恋仲の徳兵衛について噂をしています。友人と思っていた九平次(くへいじ)に金を騙し取られた上に人前で恥をかかされた徳兵衛は、死んで身の潔白を晴らそうと決意し、お初のもとを訪れます。徳兵衛に気づいたお初は、店の縁の下に忍び込ませます。九平次から徳兵衛の悪口を聞かされたお初は、独り言になぞらえて死の覚悟を徳兵衛に問い、徳兵衛は、お初の足首を自分の喉に当てて答えます。人々が寝静まる頃、2人は闇の中、死に場所を目指して急ぐのでした。

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