人形浄瑠璃 文楽 BUNRAKU

作品:世話物

新版歌祭文しんぱんうたざいもん

概要

初演:安永9年(1780)、大坂竹本座
作者:近松半二(ちかまつはんじ)

宝永7年(1710)に実際に起こった油屋の娘・お染(おそめ)と丁稚(でっち:商人の家に住みこみで働く少年)の久松(ひさまつ)の心中事件を題材とした、上下二段の作品です。
お染久松の物語は、歌祭文(うたざいもん:世俗的なニュースなどを三味線の伴奏で語ったもの)で広く知られたものでした。「新版」とは、紀海音(きのかいおん)作の『おそめ久松袂の白しぼり(おそめひさまつたもとのしらしぼり)』(宝永7年[1710])や、菅専助(すがせんすけ)作の『染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)』(明和4年[1767])『染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)』などの先行作品に対しての新作、という意味です。

写真の場面

おみつがいそいそと婚礼の準備をする中、久松に逢いたいと訪ねてきたお染に嫉妬します。

『新版歌祭文』野崎村の段
令和2年(2020)2月
国立劇場小劇場 第210回文楽公演(Y_D0100210500642)

あらすじ野崎村の段のざきむらのだん

久松は、集金した金を騙し取られ、養父・久作(きゅうさく)の住む野崎村へ戻されました。久作は、久松と女房の連れ子・おみつを結婚させることにし、おみつは喜んで支度をします。しかし、後を追ってきた恋仲のお染の情熱に心を動かされた久松は、心中を決意します。人の道に反すると諭す久作の言葉で、別れを誓う2人でしたが、お互いに目で覚悟を伝えるのでした。その覚悟を察したおみつは、尼となり身を引きます。そこへお染の母・お勝(おかつ)が現れておみつに感謝し、お染と久松はそれぞれ大坂へ戻るのでした。

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