人形浄瑠璃 文楽 BUNRAKU

作品

作品の分類

文楽の作品は、「時代物(じだいもの)」「世話物(せわもの)」「景事(けいごと・けいじ)」の3種類に大別されます。

時代物

歴史上の人物や事件を扱った作品を「時代物」といい、主に五段構成で作られます。これは能の五番立てから発したと言われています。江戸時代は、徳川家や当時の事件・実在の人物の脚色を禁じられていたため、作品の時代や登場人物を室町時代より前に設定して上演されました。そのため、源平合戦や戦国時代の武将にまつわる出来事などが題材として多く描かれています。平安時代より前を扱った作品を特に「王代物(おうだいもの)」とよびます。

世話物

江戸時代の町の人々の生活や風俗などを背景とした作品を「世話物」といい、通常、上中下の三巻で構成されます。庶民の恋愛模様や町中で起きた事件などを題材にし、ときに実名のままで上演される場合もありました。写実味のつよい作品を特に「真世話(ませわ)」とよぶこともあります。

景事

音楽性豊かに演奏される作品です。複数の太夫や三味線による合奏で、人形も優美に踊るような動きを見せます。

新作

現在上演される文楽作品の多くは江戸時代に作られたものですが、明治時代以降も作品は作られています。これらを特に「新作」といい、明治時代には今でも上演される『壺坂観音霊験記(つぼさかかんのんれいげんき)』『勧進帳(かんじんちょう)』などが作られました。現在でも、その時代に合った言葉・内容で、幅広い世代に向けて作られ続けています。

コラム番付

国立文楽劇場開場記念公演 番付
昭和59年(1984)4月

上演年月日や演目、配役などが書かれたものを「番付(ばんづけ)」といいます。公演ごとに案内としてつくられるもので、出演者は文字の大きさで格付けがなされています。文楽では、戦後、番付の発行が途絶えていましたが、昭和59年(1984)、大阪・国立文楽劇場の開場に際して復活し、以降、大阪・国立文楽劇場と東京・国立劇場の文楽公演プログラムに掲載されています。

コラム

番付などには、太夫(たゆう)の名前の上に「切(きり)」という文字が書かれている人がいます。「切」は、浄瑠璃の各段の後半にある物語の山場のこと(切場[きりば]とも)をいいます。竹本義太夫(たけもとぎだゆう)の頃は1段を1人で語ることが普通でしたが、時代が下ると、物語がだんだんと長く、曲も複雑になり、また太夫も増えてきたことから、1段を「口(くち)」「中(なか)」「切」などと分けて語るようになりました。この「切」を語ることを許された太夫を「切語り(きりがたり)」とよび、番付では名前の上に「切」の文字を記します。切語りではない太夫が切を語る場合は、番付などに切とは書きません。

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