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隈取(くまどり)

隈取の種類

むきみ隈むきみぐま

むきみ隈

若々しく色気があり正義感にあふれた役に用いる、紅隈(べにぐま)です。簡素な形が貝のむいた身に似ていることから、この名が付きました。

代表的な役:『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』「車引(くるまびき)の場」の桜丸、『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』の助六、『寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)』の曽我五郎(そがのごろう)

一本隈 いっぽんぐま

一本隈

力強くて頼りになるけれど、やんちゃで暴れん坊な役に用いる紅隈です。縦に一本の隈を取ることから、この名が付きました。あごの下にも、二重あごを示す隈を取ります。

代表的な役:『菅原伝授手習鑑』「賀の祝(がのいわい)」の梅王丸、『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』の「千里ヶ竹の場(せんりがたけのば)・楼門の場(ろうもんのば)」の和藤内(わとうない)

二本隈にほんぐま

二本隈

落ち着きがあり、堂々として力強い大人の役に用いる、紅隈です。二本の隈を跳ね上げるように取ることから、この名が付きました。あごに青で髭(ひげ)を、目尻や唇(くちびる)の内側へは墨を入れます。

代表的な役:『菅原伝授手習鑑』「車引の場」の松王丸、『鳴神(なるかみ)』の鳴神上人

筋隈すじぐま

筋隈

激しい怒りに満ちた、超人的な力を持つ勇者の役に用いる、紅隈です。いくつもの紅の筋を跳ね上げるように隈を取ることから、この名が付きました。あごに三角形の紅を、口角へは墨を入れます。

代表的な役:『菅原伝授手習鑑』「車引の場」の梅王丸、『暫(しばらく)』の鎌倉権五郎(かまくらごんごろう)、『押戻(おしもどし)』や『矢の根(やのね)』の曽我五郎

景清の隈かげきよのくま

景清の隈

武勇に優れた勇者ですが、敵に捕らえられて閉じ込められ、青白くやつれてしまった役に用いる隈です。とくによく使われる「景清(かげきよ)」という役から、この名が付きました。白い地色に、顔の上半分は筋隈と同じ形の紅隈ですが、下半分は藍(あい)で取るところから、半隈(はんぐま)とも呼ばれます。

代表的な役:『景清』の景清

公家荒くげあれ

公家荒

高い身分を持ち、国を転覆(てんぷく)させようとするような大悪人の役に用いる藍隈で、冷たく不気味な印象を与えます。眉(まゆ)を際立たせたり、額に位星(くらいぼし)という丸い形を墨で入れたりします。

代表的な役:『菅原伝授手習鑑』「車引の場」の藤原時平(ふじわらのしへい)、『暫』の清原武衡(きよはらのたけひら)

赤っ面あかっつら

赤っ面

大悪人の家来や手下で、考えの浅い乱暴者の役に用いる隈です。地色を、白ではなく赤で塗るところから、この名が付きました。紅でむきみ隈を取り、あごの下にも紅で隈を取ります。

代表的な役:『暫』の「腹出し」、『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』「川連法眼館の場(かわつらほうげんやかた)」の亀井六郎、『菅原伝授手習鑑』「車引」の杉王丸

茶隈ちゃぐま

茶隈

人間が、この世のものではない、妖怪や精霊、悪霊などへ変身する役に用いる茶隈です。土蜘蛛(つちぐも)の場合は、やや茶色がかった白地に、付け眉毛をし、口元は大きく裂けたように描くことで、不気味な印象を強めます。

代表的な役:『土蜘』の土蜘の精、『茨木』の茨木童子(いばらきどうじ:鬼)

猿隈さるぐま

猿隈

豪快な武士なのに、滑稽(こっけい)でおかしみのある役に用いる隈です。動物や植物をかたどった「戯隈(ざれぐま):ふざけた隈取という意味」の一つです。眉は、「なすび眉」と呼ばれる、八の字のような形です。

代表的な役:『寿曽我対面』の小林朝比奈(こばやしあさひな)

鯰隈なまずぐま

鯰隈

悪人なのに間抜けな、観客を笑わせる役に用いる隈です。「景清の隈」と同じように、上半分が紅隈、下半分が藍隈という組み合わせとなっています。「戯隈」の一つで、口の周りの鯰のような髭から、この名が付きました。

代表的な役:『暫』の鹿島入道(かしまにゅうどう:通称鯰坊主)

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