登場人物の性別や年齢、性格などによる分類を役柄といいます。歌舞伎にはさまざまな人物が登場しますが、役柄ごとに衣裳や化粧、かつら、演技のかたちがある程度決まっているので、どのような人物が登場したのか、判別しやすくなっています。
男性の役(立役/敵役)
『仮名手本忠臣蔵』七段目 祇園一力茶屋の場
大星由良之助:中村 吉右衛門 【2】
赤垣源蔵:坂東 亀三郎【5】(現:坂東 彦三郎【9】)
矢間重太郎:坂東 亀寿(現:坂東 亀蔵【3】)
竹森喜多八:中村 隼人
斧九太夫: 嵐 橘三郎 【6】
国立劇場 第300回歌舞伎公演
平成28(2016)年 11月
『霊験亀山鉾』二幕目第二場 駿州安倍川返り討の場、二幕目第四場 駿州中島村焼場の場
藤田水右衛門:片岡 仁左衛門【15】
香具屋弥兵衛 実は 石井源之丞:中村 錦之助【2】
若党轟金六:中村 歌昇【4】
古手屋八郎兵衛 実は 隠亡の八郎兵衛:片岡 仁左衛門【15】
芸者おつま:中村 雀右衛門【5】
国立劇場 第304回歌舞伎公演
平成29(2017)年 10月
『仮名手本忠臣蔵』七段目 祇園一力茶屋の場
大星由良之助:中村 吉右衛門 【2】
赤垣源蔵:坂東 亀三郎【5】(現:坂東 彦三郎【9】)
矢間重太郎:坂東 亀寿(現:坂東 亀蔵【3】)
竹森喜多八:中村 隼人
斧九太夫: 嵐 橘三郎 【6】
国立劇場 第300回歌舞伎公演
平成28(2016)年 11月
『霊験亀山鉾』二幕目第二場 駿州安倍川返り討の場、二幕目第四場 駿州中島村焼場の場
藤田水右衛門:片岡 仁左衛門【15】
香具屋弥兵衛 実は 石井源之丞:中村 錦之助【2】
若党轟金六:中村 歌昇【4】
古手屋八郎兵衛 実は 隠亡の八郎兵衛:片岡 仁左衛門【15】
芸者おつま:中村 雀右衛門【5】
国立劇場 第304回歌舞伎公演
平成29(2017)年 10月
女性の役(娘役)
『仮名手本忠臣蔵』道行旅路の花聟
腰元おかる:尾上 菊之助【5】
国立劇場 第300回歌舞伎公演
平成28(2016)年 11月
『仮名手本忠臣蔵』道行旅路の花聟
腰元おかる:尾上 菊之助【5】
国立劇場 第300回歌舞伎公演
平成28(2016)年 11月
男性の役
立役(たちやく)
善人の役柄で、主役であることがほとんどです。超人的な力を備えた荒っぽい勇者のような「荒事(あらごと)」の役柄、優美でやわらかな物腰の二枚目のような「和事(わごと)」の役柄、分別(ふんべつ)と風格に富んだ集団のまとめ役のような「実事(じつごと)」の役柄などに分けられます。
荒事

『菅原伝授手習鑑』
舎人梅王丸:中村 萬太郎
国立劇場(Y_E0100289500536)
和事

『恋飛脚大和往来』
亀屋忠兵衛:尾上 菊五郎【7】
国立劇場(Y_E0200029001019)
敵役(かたきやく)
悪人の役柄で、立役に対立して物語を動かします。高い身分の「公家悪(くげあく)」や、国を奪おうとする「国崩し(くにくずし)」、主役なみの大悪人である「実悪(じつあく)」、残忍な美男子の「色悪(いろあく)」、赤い顔をした乱暴者である「赤っ面(あかっつら)」などに分けられます。

『伽羅先代萩』
仁木弾正:中村 橋之助【3】(現:中村 芝翫【8】)
国立劇場(Y_E0100291500651)
親仁方(おやじがた)
中高年の役柄で、物語のなかで重要な役割を果たします。

『伊賀越道中双六』
雲助平作:片岡 我當【5】
国立劇場(Y_E0100240035014)
若衆方(わかしゅがた)
前髪の付いた美しい少年の役柄で、場面を華やかにする存在です。

『毛抜』
粂寺弾正:中村 錦之助【2】
秦秀太郎:中村 隼人
国立劇場(Y_E0200091500091)
道化方(どうけがた)
おかしな扮装や振る舞いで、観客を笑わせる役柄。悪人であるのに滑稽な「半道敵(はんどうがたき)」もあります。

『仮名手本忠臣蔵』
鷺坂伴内:坂東 亀三郎【5】(現:坂東 彦三郎【9】)
国立劇場(Y_E0100300500333)
女性の役
娘役(むすめやく)
若い女性の役柄で、恋をしている場合がほとんどです。世間知らずのお姫様である「赤姫(あかひめ)」、都市に住む気丈な娘である「町娘(まちむすめ)」、農村に住む純朴な「田舎娘(いなかむすめ)」などに分かれます。

『神霊矢口渡』
娘お舟:中村 壱太郎
国立劇場(Y_E0200095500283)
女房役(にょうぼうやく)
年配の女性の役柄です。武家に仕える芯の強い女性である「片(かた)はずし」、貞淑で犠牲を払うこともいとわない「世話女房(せわにょうぼう)」などに分かれます。
片はずし

『伽羅先代萩』
乳人政岡:中村 歌右衛門【6】
国立劇場(Y_E0100151000085)
世話女房

『傾城反魂香』
又平女房おとく:坂田 藤十郎【4】
浮世又平 後に 土佐又平光起:市川 團十郎【12】
国立劇場(Y_E0100265500110)
傾城(けいせい)
教養と品格をあわせ持つ遊女の役柄。女方の華やかさが凝縮されています。

『壇浦兜軍記』
遊君阿古屋:坂東 玉三郎【5】
国立劇場(Y_E0100202000146)
悪婆(あくば)
目的のためなら悪事も働く、たくましい中年女性の役柄。惚れた男性の前では、恥じらいも見せます。

『處女翫浮名横櫛』
お富:中村 時蔵【5】
国立劇場(Y_E0100289500490)
老女方(ふけおやま)
老人の女性の役柄で、物語のなかで重要な役割を果たします。

『近江源氏先陣館』
後室微妙:中村 又五郎【2】
国立劇場(Y_E0100168000097)
女武道(おんなぶどう)
強い女性の役柄で、難しい状況をさばいたり、立ち回りをしたり、優れた武芸をふるったりします。

『彦山権現誓助剣』
一味斎娘お園:中村 芝雀【7】(現:中村 雀右衛門【5】)
国立劇場(Y_E0200069006032)
加役(かやく)
男性の敵役に相当する邪悪な女性の役柄。他の女性の役柄とはちがって、いつもは男性の役柄を演じる俳優が演じます。
その他の役
子役(こやく)
実際に子供が演じる、子供の役柄で、重要な場面で活躍することもあります。動作や言葉の発し方は、人形のように様式化されています。