文化デジタルライブラリー

はじめての歌舞伎はじめての歌舞伎

成り立ち歴史役柄の歴史は、歌舞伎の歩みに重なります。

社会の変化と新しい役柄

生々しい物語と演出

『東海道四谷怪談』
歌川国芳 画
国立劇場所蔵(NA120180)

大都市の人口がさらに増え、社会の仕組みも複雑になった、文化・文政年間(19世紀前半)。世相が享楽的になるなか、文化も多彩に発展します。歌舞伎は、印刷や出版と結びつきながら、人々の暮らし方に深く関わるほど盛んになりました。社会の底辺に生きる人々の生々しい風俗を、あからさまに扱う「生世話物(きぜわもの)」という作風が人気を集めます。亡霊を登場させたり、刺激的な演出を織り込んで世の不条理を描く作品のなかから、次々に悪事を重ねる非道の男や、美しく豪胆な女性といった、新しい役柄が生まれました。

『東海道四谷怪談』
歌川国芳 画
国立劇場所蔵(NA120180)

江戸時代の終わりの美学

『青砥稿花紅彩画』
3代目歌川豊国 画
国立劇場所蔵(NA040380)

政治や経済がさらに行き詰まり、天保年間(1830-1843)には幕府や諸藩による、引き締め策が繰り返されます。芸能も厳しい弾圧を受けますが、歌舞伎の勢いは衰えません。講談や落語などの話芸とも交流するなか、泥棒たちの活躍や破滅を、精細な音楽や調子の良いセリフ、絵のように美しい舞台によって描く、「白波物(しらなみもの)」という作風が人気を得ます。庶民に生まれながら悪の道へと踏み込む盗賊や、女装で人をあざむく美少年といった、新しい役柄が生まれました。

『青砥稿花紅彩画』
3代目歌川豊国 画
国立劇場所蔵(NA040380)

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