文楽編・菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)

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師弟関係

武部源蔵はなぜ寺子屋の子どもを身代わりに殺してまで菅丞相に忠義を尽くさねばならなかったのでしょうか。その背景を探ります。

  • 左:菅丞相(師匠)、右:武部源蔵(弟子)
左:菅丞相(師匠)、右:武部源蔵(弟子)

菅丞相(かんしょうじょう)の1人息子、菅秀才(かんしゅうさい)を我が子として匿っている武部源蔵(たけべげんぞう)と戸浪(となみ)夫婦。そのことが藤原時平(ふじわらのしへい)方に発覚し、菅秀才の首を差し出すようにと言われると、源蔵が師匠を務めている寺子屋の子どもの誰かを身代わりにできないかと思案するのです。

『菅原伝授手習鑑』は平安時代の物語ではありますが、近世に創作されたために、江戸時代に用いられた思想や倫理観などで貫かれているので、武士階級における「忠義」は絶対的なものでした。親よりも子よりも、一番大切にすべきものが主(しゅう)であったのです。そして武部源蔵は菅丞相の家来であっただけでなく、筆法(ひっぽう)の弟子でもありました。二重の意味で忠義を尽くさねばならぬ相手です。

ところが、同じく菅家に仕えていた戸浪と恋愛関係になったことで勘当されてしまいました。この作品が書かれた当時、主人が許さない家臣同士の恋愛は不義(ふぎ)と呼ばれ、固く禁じられていたのです。

勘当された身なのに、筆法を伝授する弟子として丞相が選んだのは武部源蔵でした。源蔵は「御勘当も赦され前に変わらぬ御主人様」と丞相に呼びかけますが、「伝授は伝授、勘当は勘当」と突き放され帰参は叶いません。

丞相に対して負い目を深く感じていた源蔵は、何としても恩に報いねばと、「我が子も同然」の寺子(=寺子屋の生徒)を犠牲にすることを決意したのではないでしょうか。

作品の概要
  • 初段
    • 大内の段
    • 加茂堤の段
    • 筆法伝授の段
    • 築地の段
  • 二段目
    • 道行詞甘替
    • 安井汐侍の段
    • 杖折檻の段
    • 東天紅の段
    • 丞相名残の段
  • 三段目
    • 車曳の段
    • 茶筅酒の段
    • 喧嘩の段
    • 桜丸切腹の段
  • 四段目
    • 天拝山の段
    • 北嵯峨の段
    • 寺入りの段
    • 寺子屋の段
  • 五段目
    • 大内天変の段
名場面集
  • 許されぬ勘当
  • 菅丞相の涙
  • 菅丞相と苅屋姫との別れ
  • 白太夫と八重の悲嘆
  • 緊迫の首実検
  • 切なさ極まるいろは送り
作中の人間ドラマ
  • 3兄弟の運命
  • 親子の別れ
  • 師弟関係
主要人物相関図 知っておきたい基礎知識

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