
![平成9年(1997年)4月27日 第42回雅楽公演 国立劇場大劇場 [出演]宮内庁式部職楽部](img/syutsuen_bugaku01.jpg)
左方のなかで、緩やかでやわらかな舞が特徴の平舞(ひらまい:文舞[ぶんのまい]ともいう)の代表的な演目です。
この演目は、隋の煬帝(ようだい:在位604~618年)、唐の武太后、漢の武帝(ぶてい:在位紀元前141~紀元前87年)などが作らせたという説があり、賢い君主の時代には鳳凰が飛んで来て「賢王万歳」とさえずるといわれ、この声を曲に、その姿を舞に作ったともいわれています。
中心となる「当曲(とうきょく)」は管絃曲としても奏されます。四人舞ですが、六人舞で奏すこともあります。
一具は、(1)「平調調子」、(2)「当曲」、(3)「平調調子」からなります。 「平調調子」で舞人(まいにん)が登場、舞台に登るときの舞の手「出手(でるて)」を舞い、続いて「当曲」が舞われます。「当曲」は延八拍子(のべやひょうし)、拍子十で、最後に志止禰(しとね)拍子という曲の終わりの拍子が加わります。最後の「平調調子」で舞人は舞台から降りるときの舞の手「入手(いるて)」を舞い降台します。それにあわせ、楽器を演奏する管方は曲を終了させるための「吹止句(ふきどめく)」を奏します。
赤系統の色を基調とした襲装束(かさねしょうぞく)を着用します。赤い袍(ほう)の右袖を脱ぐ「片肩袒(かたかたぬぎ)」で舞うため、下襲(したがさね)の袖の紋様などが華やかさを強調します。
鳳凰をかたどったといわれる鳥甲(とりかぶと)を頭にかぶり、太刀はつけず、何枚もの衣装をつけて舞います。
舞台を大きく使ったおごそかな舞は優美で、変化に富んだ曲調と溶け合い、鳳凰が舞う姿を思い起こさせます。即位の礼をはじめ、祝賀の際には必ず用いられるおめでたい演目で、演奏される機会が多い代表的な演目です。
※別称は『煬帝(ようだい)萬歳楽』とよばれています。
※番舞(つがいまい)は『延喜楽(えんぎらく)』の他に『地久(ちきゅう)』などがあります。