神々を畏れ敬い、祈りや感謝とともに歌や舞を捧げた歌舞の原点。それを今に伝える「御神楽(みかぐら)の儀」は、国風歌舞のなかでもとりわけ神聖な歌舞です。
御神楽は、宮中に伝わる歌舞のなかでも、とくに祭祀の重要な部分と深く関わってきました。
長保4(1002)年、宮中の内侍所(ないしどころ)で奏されてから毎年行われるようになり、以降、神々を迎えもてなす神事として伝承されてきました。
御神楽の組曲、10数曲すべてを演奏する儀礼を「御神楽の儀」と呼びます。現在宮中では、12月中旬の「恒例御神楽之儀(こうれいみかぐらのぎ)」のほか、4月3日の神武天皇祭や大嘗祭(だいじょうさい:天皇が即位後、初めて行われる新嘗祭)、20年に一度の伊勢神宮の式年遷宮などで行われています。
また御神楽は、かつて宮中から諸社へ使者が遣わされ行うことがありました。現在も一部の神社では、神職によってその伝統が受け継がれています。
(注)宮中で行われる「御神楽の義」は、一般に公開されていません。伊勢神宮や春日大社、鶴岡八幡宮、伏見稲荷大社をはじめとする神社では、御神楽の一部が祭礼などで奏され、一般に公開されている例もあります。