打物とも呼ばれる雅楽の打楽器は、さまざまな大きさや構造をもち、種目によって用いられるものが異なります。演奏で用いられるおもな大型の打楽器のうち、太鼓は管絃や小規模の舞楽、鼉太鼓は舞楽で用いられ、鼉太鼓は左右一組で演奏される楽器です。
雅楽のリズムを司るリーダー的役割
鞨鼓(かっこ)/三ノ鼓(さんのつづみ)
◎大きさ
鞨鼓:胴の長さ約30センチ、両端の内径約15センチ、革を張る鉄輪の直径約23センチ
三ノ鼓:胴の長さ約45センチ、両端の内径約22センチ、革を張る鉄輪の直径約32センチ
◎構造
鞨鼓(かっこ)は、中央部がわずかに膨らんだ円筒形の胴をもっていて、胴は桜など硬い木で作られています。
三ノ鼓(さんのつづみ)は鞨鼓より一回り大きく、中央部が砂時計のようにくびれた胴が特徴です。
いずれも、唐草模様や牡丹の花など、鮮やかな彩色が施されています。
音楽の節目を表す大型の打楽器
太鼓(釣太鼓[つりだいこ]/鼉太鼓[だだいこ] )
◎大きさ
釣太鼓:胴の直径約55センチ、厚さ約15~20センチ
鼉太鼓:胴の直径約130センチ、厚さ約100センチ、革を張る鉄輪の直径190~240センチ
◎構造
太鼓は、管絃で用いる釣太鼓と、舞楽で用いるの巨大な鼉太鼓(だだいこ:大太鼓)があります。
釣太鼓は楽太鼓(がくだいこ)とも呼ばれ、円形に枠に吊るして使用します。
鼉太鼓は、鉄輪に張った革を太い紐で締め上げ張力を出す、巨大な締太鼓(しめだいこ)です。太鼓を囲むように大きな火焔(かえん)形の装飾があることから、火焔太鼓とも呼ばれ、先端には月や太陽などの装飾がつけられています。
このほか、棒に吊るして2人で担ぐ「荷太鼓(にないだいこ)」というものもあります。