文楽編 仮名手本忠臣蔵 Kanadehon Chushingura

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背景を知る 史実から創作へ

史実から創作へ 登場人物の造形

史実の「赤穂事件」に関わった人物の実像は、残された手紙や、第三者の記録から想像するしかありませんでした。作者は、『太平記』の人物や出来事を巧みに取り入れて劇世界を設定すると同時に、史実の人物もドラマを担う人物として創造しました。

『大石内蔵助像』
(赤穂大石神社所蔵)

「大序」から「三段目」には、史実の「赤穂事件」の発端と主要人物が、『太平記(たいへいき)』の世界に仮託されて登場します。『太平記』に登場する人物は、虚実ともに江戸時代の庶民に馴染み深いものになっていたようです。たとえば吉良上野介(きらこうずけのすけ)は、『太平記』の高師直(こうのもろのう)として登場します。『太平記』の高師直は、実像はともあれ、塩冶判官(えんやはんがん)の美しい妻に横恋慕する好色漢として描かれ、本作でもそれを生かした造形で、ドラマの発端を構想しています。

一方、史実の「赤穂事件」に関係する実在の人物をモデルとしながら、大石内蔵助(おおいしくらのすけ)を大星由良助(おおぼしゆらのすけ)とするなど、巧妙に名を工夫し、その中に実在の人物をにおわせます。命名だけでなく、たとえば、加古川本蔵(かこがわほんぞう)は吉良に斬りつけた浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)を抱きとめた実在の幕臣・梶川与惣兵衛(かじかわよそべえ)をもとに、「赤穂事件」以前に起こった、津和野藩主と吉良との間の一触即発の事態を、吉良への賄賂で回避した津和野藩家老の話を取り入れて造形し、観客を実事件へ引き込む仕掛けがなされています。

また、実在のモデルらしき人物に滑稽味を加えた鷺坂伴内(さぎさかばんない)などを創作することで、よりドラマがふくらみをもつよう工夫されています。

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