三味線で唄を歌う芸を総称して「音曲」と呼ぶことができますが、その芸の幅はたいへん広いといえます。一般的には端唄や小唄、都々逸を歌うというものですが、長唄や新内のさわり、つまり一番の聞かせどころを演奏する場合もあります。民謡を専門にする演者もいます。また民謡の中でも津軽三味線を中心に聞かせる演者もいます。
芸の呼び名も演者によってさまざまです。音曲、俗曲、粋曲、邦楽バラエティーなどの名称が使われています。演奏よりも、おしゃべりや笑いに重点を置いている演者は、三味線漫談の名称を使っています。そして、ただ演奏するだけでなく、世の中の出来事や政治を風刺する場合もあります。
演者は男性も女性もいますが、女性が演じる場合、女道楽(おんなどうらく)という名称を使うこともあります。
このように演者の個性によって、演じ方にかなりの幅がある芸といえます。