曲芸用の独楽である曲独楽は、心棒が鉄で作られているのが特徴です。江戸時代に博多で生まれて江戸に伝わりました。回すのにはヒモは使わず、心棒を親指と人指し指の間で包みこむようにして持ち、振動を与えて回転させます。代表的な技として、刀の刃の上を独楽が移動する「刃渡り」、糸の上を独楽が移動していく「糸渡り」、開いた扇子の紙の部分に、回った独楽を乗せてバランスをとる「地紙止め」、羽織の袖の上から、襟を通過して、もう一方の羽織の袖まで独楽を回す「衣紋流し(えもんながし)」、長い棒の先で、平たい大きな独楽を回して、直角にまで倒していく「風車(かざぐるま)」、板の上に小さな5つの独楽を乗せ、観客が指示した独楽だけを回してみせる「五色の独楽」、独楽を平たい木の輪の中に通したり、その輪の内側や外側に乗せたりする「輪抜け」などがあります。見事な技の数々で観客を引きつけるだけでなく、軽妙な話術や観客とのやりとりで笑いを生み、人気がある演芸です。