大道(だいどう)で行われていた芸能が、専用の場所で演じられ始めたのは、江戸時代半ばのこと。講談や落語などの興行が催される演芸場が「講釈場」「寄せ場」と呼ばれ、このうち「寄せ場」が「寄席」や「席」と略されるようになりました。
庶民の人気を集めた寄席は、江戸や大坂などで大いに広がり、映画やラジオ・テレビなどが生まれるまでは、芝居と並ぶ娯楽の中心であり続けたのです。
寄席で演じられる芸能のうち、話す芸の代表は落語です。扇子と手拭いを小道具として使い、滑稽(こっけい)な話や情に訴える話を1人で演じる芸で、東京の多くの寄席は落語を基本に構成されています。やはり1人で演じる講談は、おもに歴史にちなんだ物語を読み上げる芸。三味線の奏者とともに演じることの多い浪曲は、節まわしとセリフに特徴があります。漫才は、おもに演者2人の掛け合いを楽しむ芸です。
技を見せる芸としては、傘や鞠(まり)、籠(かご)などを使った曲芸で知られる太神楽(だいかぐら)や、トランプや金輪(かなわ)、ロープなどを使うことでおなじみの奇術などがあります。