- 作者:
- 玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)
- 初演:
- 1719年。尚敬王(しょうけいおう)冊封(さくほう)の宴(うたげ)で上演。
冊封使(さくほうし)、徐葆光(じょほこう)の『中山伝信録(ちゅうざんでんしんろく)』には『鐘魔事』と書かれている。
- 登場人物:
- 中城若松(なかぐすくわかまつ)、宿の女、座主(ざす)、小僧1、小僧2、小僧3
主な登場人物の相関図
- 参考動画:
- 能『道成寺(どうじょうじ)』の影響が見られる。
美少年の中城若松は、首里(しゅり)へ奉公に向かっていました。その途中、日が暮れてしまい、若松は一軒の家に泊めて欲しいと願います。その家では、若い女[宿の女]が1人で留守番をしていました。女は親が居ないときは泊められないと断ります。しかし若松が名乗ると、女は有名な若松に憧れの思いを寄せていたので、家に招き入れました。
若松は眠りに就きますが、女は若松への思いを遂げようと若松を起こします。かたくなに拒む若松。恋が成就できないならば共に死のうと若松に詰め寄る女。身の危険を感じた若松は女の元から逃げ出しました。
若松は末吉(すえよし)の寺に逃げ込み、座主[住職]に助けを求めます。座主は若松を鐘の中に隠し、寺の小僧達に番をさせ、決して寺に入れるなと言いつけます。そこへ若松を追い、女がやって来ます。小僧達は、始めは女を追い出そうとしますが、寺に入れてしまいます。
寺中を探し回る女のただならぬ気配に気付いた座主は、若松を鐘から連れ出して逃がします。逆上した女は、鐘にまとわりつき、鬼に変身します。しかし、座主と小僧達は法力によって鬼女を説き伏せ、鎮めます。