- 作者:
- 玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)
- 初演:
- 初演年未詳。
1756年、尚穆王(しょうぼくおう)冊封(さくほう)の宴(うたげ)で上演された記録がある。
- 登場人物:
- 銘苅子(めかるし)、天女、おめなり[姉]、おめけり[弟]、上使、供1、供2、きやうちやこ持
主な登場人物の相関図
- 参考動画:
- 能『羽衣(はごろも)』と比較できる。
畑仕事の帰り道、農夫の銘苅子は、泉の周辺全体が明るくとてもよい匂いがすることに気づきます。そこで、隠れて様子を見ていると、美しい天女が現れました。天女が髪を洗い出したすきに、銘苅子は羽衣を取ってしまいます。天女は羽衣を取られ、天に帰ることもできないので、仕方なく銘苅子の妻となることを受け入れました。
月日が経って、2人は女の子と男の子に恵まれました。ある日、天女[母]は子どもが歌う子守歌から、羽衣が米蔵の中に隠されていることを知ります。そして天女は、羽衣が見つかったからには天界へ戻らなければならないと決心します。子ども達を寝かしつけ、天女は羽衣を身にまとい、天に昇ります。子ども達は目が覚めて母がいなくなったことを知り、泣き叫びます。
明くる日から、姉弟は毎日母を捜し歩きます。銘苅子は「母はこの世の人ではないから諦めるように」と言います。
そこへ首里(しゅり)王府[琉球王国の都の首里にあった中心的な役所]の使者がやって来ました。使者は「銘苅子の妻である天女が2人の子ども達を残して天に昇ってしまったという噂(うわさ)が首里城まで届いた。それを聞いた王は、姉は城内で養育し、弟は成長したら取り立て、銘苅子には士族の位[王を支える武士の階級]を与えることにした」といいます。それを聞いた銘苅子親子は喜び、家路につきます。