芥川賞作家の大城立裕(おおしろたつひろ)が、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)の「朝薫五番」にあやかって創作した「組踊五番」の1つです。
芥川賞作家の大城立裕(おおしろたつひろ)が、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)の「朝薫五番」にあやかって創作した「組踊五番」の1つです。
首里王府の士族の長男である倉田真刈は、豊見城(とみぐすく)の役所に勤めるうち、真珠村の美しい娘、コマツと恋仲になりました。2人は真珠村から首里に続く「真珠道」を通って、真刈の両親へ結婚の許しをもらいに向かいます。しかし身分が違うという理由で別れさせられてしまいました。
歳月が流れ、真珠村では、真珠道の川に架ける橋が何度工事をしても流されてしまい、村人たちが困っていました。そこへ新しい普請(ふしん)奉行[公共事業の担当職]として、出世をした真刈が着任します。工事について真刈が村掟[村長]に相談すると、村掟は巫女から神のお告げを得ようと進言します。
そこへ現れた巫女は、コマツでした。結婚を誓い合いそして別れた二人が、思いがけず再会となったのです。巫女となったコマツのお告げによると、七色の元結(もとゆい)[髪をまとめるひも]をした女を人柱(ひとばしら)[安全を願って生きた人間を神に捧げる風習]にすれば、村は助かるとのこと。後に、コマツは七色の元結を締め、自ら犠牲になることを選びます。
村人は、コマツを人柱として神に捧げ、見事架かった橋を喜びます。しかしコマツの真意を分かっていた真刈は、コマツの心情を胸に、1人、真珠道を首里へ上ります。