歌舞伎編「黙阿弥」

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TOP > 作品の特色 > 白浪作者(生世話と庶民性)
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作品の特色

白浪作者

白浪ブームと諸相

悪と因果

生世話と庶民性

 江戸時代も後期になり庶民文化が爛熟(らんじゅく)し、より写実的な表現が求められるなかで、「生世話(きぜわ)」とよばれるジャンルが確立しました。世話物のなかでも写実的な要素が濃い芝居のことです。
 その先駆けをなした作者が4代目鶴屋南北(つるやなんぼく)で、それまで脇役にすぎなかった見世物師や夜鷹など下層の生活者たちを、はじめて舞台の主役にしました。その劇構造の特徴は、公家や武家の社会を骨格に据え、その一面に写実性を追及した点です。
 そのあとを受けた黙阿弥は、公家や武家の社会を描くことは少なかったといえます。南北同様、下層の生活者が主役ですが、長屋に暮らす彼らが実は高貴な生まれであるといったような設定はなく、徹頭徹尾(てっとうてつび)、下層に生きる人物そのものとして造形しました。彼らが抱える最大の悩みは親子関係のような身近な人間関係にあり、この点でも観客の共感を呼ぶ人物なのです。こうした主人公の悲哀感を盛り上げたのは、七五調(しちごちょう)のセリフや下座音楽(げざおんがく:歌舞伎の効果音)、浄瑠璃(じょうるり)などの美しい音楽性でした。陰鬱(いんうつ)な現実の実相を様式美で包みこんだのが、黙阿弥による生世話です。

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