歌舞伎編「黙阿弥」

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TOP > 作品の特色 > 白浪作者(悪と因果)
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作品の特色

白浪作者

白浪ブームと諸相

悪と因果

生世話と庶民性

豊原国周画
(左から)
火の玉小僧、天狗小僧、弁天小僧
鼠小僧、稲葉小僧、因果小僧

 黙阿弥の世話狂言の構造には、「因果応報(いんがおうほう)」という特徴があります。白浪狂言の主人公は大悪党ではなく、悪事を働いても義理と人情を重んじる市井の人物です。彼らは自分の悪事のせいで、縁ある者が不幸になったことを知ると、因果応報の理(ことわり)に服して善に返り、改心するか、捕縛されるか、自害をします。
 これは4代目鶴屋南北(つるやなんぼく)が描いた主人公と比べると極めて対象的です。『東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)』の民谷伊右衛門(たみやいえもん)や『絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)』の立場の太平次(たてばのたへいじ)など、南北劇に出てくるのは無慈悲で本能的な悪人で、因果応報を恐れることはありません。
 黙阿弥がこうした主人公を描き続けた背景には、黙阿弥自身の真面目な性格や、曲亭馬琴(きょくていばきん)の読本(よみほん)からの影響があげられますが、何よりも幕末の社会状況が影響していました。
 嘉永6年(1853年)に黒船が来航すると、幕府の権威は大きく揺らぎはじめます。庶民は江戸時代の終わりが遠くないことを感じ、自分たちの未来を見いだせずにいました。そうした閉塞感のなかにあって、黙阿弥が描く、因果応報の道理にしばられて苦しむ若者たちの物語は現実感があり、観客の共感を呼んだのです。

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