歌舞伎編「黙阿弥」

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作品の紹介

代表作品

天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)

概要
あらすじ
鑑賞のポイント
コラム

 マークの場名をクリックすると別ウィンドウで現代地図より舞台背景をご覧いただけます

お藤を取り戻すと約束する河内山
「上州屋見世先の場」
恋人同士の三千歳と直次郎
「吉原大口三千歳部屋の場」
市之丞と駕籠の中で動じない河内山
「吉原田圃根岸道の場」
上野輪王寺宮の使僧に扮する河内山
「松江邸書院の場」
正体を見破られる河内山
「松江邸玄関先の場」
互いの気持ちを確かめ合う直次郎と三千歳
「入谷大口寮の場」
三千歳と直次郎を罵る市之丞
「入谷大口寮の場」
序幕:湯島天神境内(ゆしまてんじんけいだい)の場
同 上州屋質見世(じょうしゅうやしちみせ)の場

 剣術使い・金子市之丞(かねこいちのじょう)による奉納の試合が行われようとしている湯島天神の境内(けいだい)で、市之丞の門弟たちと揉めているのは暗闇の丑松(くらやみのうしまつ)でした。この界隈(かいわい)を仕切る自分たちに、断りもなく試合をすることに文句を付けます。師匠の市之丞も現れ、一触即発のところへ割って入ったのは、御数寄屋坊主(おすきやぼうず:江戸城中で将軍や幕府の諸役人に茶を出すなどの役を勤める職)の河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)です。河内山の取りなしで、どうにかこの場の争いは収まります。
 質屋上州屋の店先に河内山が訪れ、ただの木刀を質に入れて50両という大金を借りたいと無理をいいます。そこへ、この家の後家・おまきが現れ、一人娘のお藤(おふじ)を松江出雲守(まつえいずものかみ)の屋敷へ腰元奉公に上げたが、松江候がお藤に妾(めかけ)になるよう命じ、断ると部屋に閉じこめていると嘆きます。これを聞いた河内山は、2百両を払うなら娘を取り返してみせると宣言し、親戚の和泉屋清兵衛(いずみやせいべえ)が手付の金百両を立て替え、お藤を取り戻すよう頼むのでした。

2幕目:吉原大口楼二階廻し座敷(よしわらおおくちろうにかいまわしざしき)の場
同:三千歳部屋(みちとせへや)の場
同:吉原田圃根岸道(よしわらたんぼねぎしみち)の場

 市之丞は門弟を連れ、吉原でも評判の大口屋の花魁・三千歳(おいらん・みちとせ)のもとへ通っていますが、三千歳は市之丞をうとましく思っています。市之丞は三千歳を身請けすると言い出しますが、三千歳には恋人・片岡直次郎(かたおかなおじろう)がいるので断ります。すると市之丞は、三千歳が直次郎のために人を通じて借りた金が自分から出たものであることを明かし、金を返すか身請けされるかと迫ります。直次郎を兄貴分と頼む丑松が暴れ込み争うところへ、直次郎本人が登場して百両を返済します。市之丞たちは引き上げますが、人々は直次郎がどうやって金を手に入れたのか不思議がります。実はこの金は仲間である河内山が貸したものでした。河内山は松江候の屋敷に乗り込む計画を直次郎に持ちかけ、一足先に駕籠(かご)で帰るのでした。
 人気のない夜の根岸道で待ち伏せをした市之丞は、直次郎が乗っていると思い、大口屋からの駕籠を襲いますが、中にいたのは河内山でした。抜き身の刀が光るのを見ても全く動じない河内山の度胸に、市之丞は感心します。

3幕目:松江邸広間(まつえやしきひろま)の場
同:書院(しょいん)の場
同:玄関(げんかん)の場

 自分になびかないお藤こと浪路(なみじ)を手討ちにしようとする松江候を、家臣たちが止めるところへ、上野輪王寺宮(うえのりんのうじのみや)から使いの僧がやってきます。
 使いには会わないと奥へ入った松江候に代わって、家老・高木小左衛門(たかぎこざえもん)らが使僧を迎えます。この僧は、実は河内山が変装した偽物です。松江候に対して、浪路を親元へ帰すよう説得し、渋るのを脅して無理に承知させるのでした。さらに河内山は家臣たちに「山吹色のお茶」を一杯もらいたい、と暗に金を要求します。そして、運ばれてきた小判をひとり眺めるのでした。
 家臣らに見送られ帰ろうとする河内山のもとに、北村大膳(きたむらだいぜん)が駆けつけ、左の頬にある黒子(ほくろ)を証拠に、河内山の正体を見破ります。河内山は開き直り、使僧と偽って浪路を取り返したわけを話して聞かせます。大膳は河内山を捕らえようとしますが、小左衛門は松江家の名に傷が付くことを避けるため、河内山をあくまでも宮の使いとして送り出すのでした。悔しがる大膳と奥から様子を見ている松江候を、「馬鹿め」と罵り、河内山は悠々と去っていきます。

4幕目:入谷蕎麦屋(いりやそばや)の場
同:大口屋寮(おおくちやりょう)の場

 悪事が露見し追われる身となった直次郎を案じるあまり、病となった三千歳は入谷村で療養しています。三千歳に一目会おうとやってきた直次郎は、蕎麦屋で按摩(あんま)の丈賀(じょうが)に出会い、三千歳への手紙を託します。
 雪の中、三千歳のいる大口屋の寮を訪れた直次郎は、三千歳との再会を果たします。隣家から清元(きよもと)の浄瑠璃が聞こえる中、互いの気持ちを確かめ合うふたり。そこへ市之丞が訪れます。夜間は目が不自由になる市之丞ですが、気配を感じて遠回しに直次郎と三千歳を罵り、三千歳を身請けしたことを告げます。堪えかねた直次郎が、自分を斬れと迫ると、畜生を斬る刀は持たぬ、と三千歳の年季証文(ねんきじょうもん)を投げ捨てて去っていきます。証文に添えられていた紙を見ると、それはへその緒書きで、市之丞は三千歳の実の兄であることがわかります。ふたりが市之丞の後ろ姿を拝むのもつかの間、裏切った丑松の訴えにより、捕手(とりて)が現れます。直次郎は三千歳にこの世での別れを告げ、逃げていくのでした。

大詰 池ノ端河内山妾宅(いけのはたこうちやましょうたく)の場

 上州屋の後家・おまきと和泉屋清兵衛が、河内山から貸してくれと頼まれた金を持って訪れます。河内山の話から、娘・お藤を取り戻すために、松江候に対して詐欺を働いたことを知ったふたりは、関わり合いになることを恐れ、急いで立ち去ります。一方、直次郎は河内山に別れの挨拶をしようと、この家を訪れます。これから甲州へ逃れようという直次郎に河内山は、この上は正々堂々と縄に掛かろうと提案し、直次郎もそれを受け入れます。ふたりは家を取り囲んだ捕手と争い、ついに捕らわれるのでした。

注釈:「場名」は国立劇場第18回歌舞伎公演のものにより、「あらすじ」も現在の上演の内容によって紹介しています。
台本は、『黙阿弥全集』第16巻に収録されています。

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