歌舞伎編「黙阿弥」

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TOP > 作品の紹介 > 代表作品(三人吉三廓初買~概要~)
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作品の紹介

代表作品

三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつがい)

概要
あらすじ
鑑賞のポイント
コラム
作品の基本情報(配役は初演時)
3代目歌川豊国画
『三人吉三廓初買』
(左)お嬢吉三に扮する3代目岩井粂三郎
(中)和尚吉三に扮する4代目市川小團次
(右)お坊吉三に扮する初代河原崎権十郎

【通称】三人吉三(さんにんきちさ)
【初演年】安政7年(1860年)1月
【初演座】市村座
【ジャンル】世話物
【おもな配役】
4代目市川小團次(いちかわこだんじ、48歳)が和尚吉三(おしょうきちさ)と文里(ぶんり)の2役、3代目岩井粂三郎(いわいくめさぶろう、31歳:のちの8代目岩井半四郎[いわいはんしろう])がお嬢吉三(おじょうきちさ)と一重(ひとえ)、初代河原崎権十郎(かわらざきごんじゅうろう、22歳:のちの9代目市川團十郎[いちかわだんじゅうろう])がお坊吉三(おぼうきちさ)、関三十郎(せきさんじゅうろう、55歳)が土左衛門伝吉(どざえもんでんきち)、初代中村歌女之丞(なかむらかめのじょう、30歳)がおとせと吉野(よしの)、13代目市村羽左衛門(いちむらうざえもん、17歳:のちの5代目尾上菊五郎[おのえきくごろう])が十三郎(じゅうざぶろう)に扮しました。

作品の概要

 2代目河竹新七(かわたけしんしち)こと黙阿弥が45歳のときの作品です。
 3人の吉三が出会って義兄弟(ぎきょうだい)の契り(ちぎり)を結ぶ「大川端(おおかわばた)の場」は、「月も朧(おぼろ)に白魚(しらうお)の」のセリフで知られる歌舞伎屈指の名場面です。
 全幕通すと7幕14場の長編です。筋は「三人吉三」と「廓初買」に大別できますが、見どころは「三人吉三」のくだりにあります。吉三の名を持つ3人の盗賊が主人公で、社会の底辺に生きる人々が織りなす、陰鬱(いんうつ)で救いのない因果譚(いんがたん)が展開します。一方の「廓初買」は、寛政期(1789年~1801年)の人情本が原作で、通人(つうじん)の文里と遊女・一重の情話です。「三人吉三」の因果譚と「廓初買」の恩愛譚(おんあいたん)が、貨幣(かへい)を媒体にして交互に進行することで、それぞれの世界の輪郭がよりはっきりと浮かびあがる仕組みです。
 黙阿弥会心の作でしたが初演は不入りで、長らく再演されませんでした。20年近く経てから、上方(かみがた)で上演されるようになり、明治32年(1899年)東京明治座公演をきっかけに上演レパートリーとなります。このとき、文里と一重の情話を除いた筋に整えて名題を『三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)』と改め、この形態を現在も受継いでいます。
 「大川端の場」単独の上演が圧倒的に多いものの、平成になってからは通し上演も増え、平成13年(2001年)には国立劇場で「廓初買」の筋も部分的に含めた完全版が、実に48年ぶりに上演されました。

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