歌舞伎編「黙阿弥」

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TOP > 作品の紹介 > 代表作品(小袖曾我薊色縫~あらすじ~)
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作品の紹介

代表作品

小袖曾我薊色縫(こそでそがあざみのいろぬい)

概要
あらすじ
鑑賞のポイント
コラム

 マークの場名をクリックすると別ウィンドウで現代地図より舞台背景をご覧いただけます

心中する十六夜と清心
「稲瀬川百本杭の場」
白蓮と三次に助けられる十六夜
「川中白魚船の場」
杭につかまって助かる清心
「百本杭川下の場」
白蓮、清心、十六夜のだんまり
「百本杭川下の場」
西心と尼になったおさよ
「初瀬小路白蓮妾宅の場」
金をゆするおさよと清吉
「雪の下白蓮本宅の場」
清吉と殺されたおさよ
「名越無縁寺の場」
序幕:稲瀬川百本杭(いなせがわひゃっぽんぐい)の場

 極楽寺の所化・清心(しょけ・せいしん)は、大磯扇屋(おおいそおうぎや)の遊女・十六夜(いざよい)との関係が発覚し、女犯(にょぼん)の罪で寺を追われます。これを知った十六夜も、清心を追って廓(くるわ)を抜け出します。十六夜は清心の子を身ごもっており、廓勤めのならない体でした。稲瀬川百本杭でばったりと出会ったふたりは、この世で添えないならばと心中を決意し、ともに川に身を投げます。

同:川中白魚船(かわなかしらうおぶね)の場

 川に身を投げた十六夜は、俳諧師・白蓮(はくれん)と船頭・三次(さんじ)が引く四つ手網(よつであみ)にかかり、命を救われます。

同:百本杭川下(ひゃっぽんぐいかわしも)の場

 一方、下総行徳[現在の千葉県市川市南部]の生まれの清心は幼い頃から水練の心得があるので、死にきれずに岸に上がってきます。そこへ寺小姓・求女(もとめ)が50両の金を持って通りかかります。清心は求女が癪(しゃく)に苦しむので、介抱しようとして懐の金に気づきます。十六夜の供養のために金を借りようとして揉み合ううち、清心は誤って求女を殺してしまいます。清心は一旦は自害しようとしますが、遊山船の騒ぎ唄(さわぎうた:賑やかな音楽)を聞くうちに、悪の道に生きようと心変わりします。なお、求女は実は十六夜の弟なのですが、清心はそのことを知りません。

2幕目:初瀬小路白蓮妾宅(はせこうじはくれんしょうたく)の場

 白蓮は十六夜改めおさよを身請けして妾(めかけ)とし、その父・佐五兵衛(さごべえ)の世話までしてやっています。おさよは白蓮の目を盗んでは清心の位牌(いはい)に回向(えこう:仏事供養をすること)します。それを見つけた白蓮は、おさよの貞節に感じ入り、尼になることを許します。一方、佐五兵衛は十六夜の弟・求女の菩提を弔うため剃髪(ていはつ)して西心(さいしん)と名乗ります。尼になったおさよと西心は白蓮に暇をもらい、諸国修業の旅に出ます。

同:箱根山中地獄谷(はこねさんちゅうじごくだに)の場

 清心改め鬼薊清吉(おにあざみせいきち)とおさよは地獄谷にて再会します。

3幕目:雪の下白蓮本宅(ゆきのしたはくれんほんたく)の場

 清吉と夫婦になったおさよは、今は悪事がすっかり板に付いており、ふたりは白蓮の家に出かけ、金をゆすります。白蓮は百両の包みを出します。その封印を見ると、幕府から極楽寺に奉納された祠堂金(しどうきん)の封印でした。いま、白蓮が祠堂金の盗賊・大寺正兵衛(おおでらしょうべえ)であることがわかります。また、白蓮が清吉の生まれ育ちを聞くと、清吉は白蓮の弟であったと知れます。そこへ捕手(とりて)が押し寄せます。

大詰:名越無縁寺(なごえむえんじ)の場

 おさよの父・西心は無縁寺の墓守となっています。清吉と子どもを抱いたおさよが会いに来ます。西心の話で、清吉が殺した求女は十六夜の弟であり、奪った50両は清吉[清心]のために用立てた金であったことがわかります。清吉は申し訳なさに死のうとしますが、誤っておさよを殺してしまいます。そのとき、早桶(はやおけ:粗末な円筒形の棺桶)にかくれてここまで逃げてきた正兵衛が現れ、清吉はその介錯(かいしゃく)で切腹して果てます。また、子どもは西心が預かることとなります。このあと、正兵衛が捕手に囲まれて幕となります。

注釈:ここでは、国立劇場第214回歌舞伎公演をもとに、「あらすじ」を紹介しています。
台本は、『黙阿弥全集』第3巻[『花街模様薊色縫(さともようあざみのいろぬい)』]に収録されています。

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