歌舞伎編「黙阿弥」

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作品の紹介

代表作品

都鳥廓白浪

概要
あらすじ
鑑賞のポイント
コラム
松若丸(まつわかまる)が遊女になった理由

 現在は全3幕ですが、初演では前半にさらに3幕が上演されました。場名は、「吉田家館(よしだけやかた)」「鞍馬山麓(くらまさんろく)」「東海道汐見坂(とうかいどうしおみざか)」で、ここで松若丸が遊女になった経緯が明らかになります。
 松若丸は妾腹(しょうふく)の子のため、正妻の班女御前(はんじょごぜん)が産んだ梅若丸(うめわかまる)に家督(かとく)を譲るため、天狗(てんぐ)にさらわれたふりをして鞍馬山(くらまやま)に隠れました。そして御家再興(おいえさいこう)に必要な「都鳥の印(みやこどりのいん)」を探すため、盗賊となって多くの子分を抱えます。一度は捕らえられたものの逃亡し、江戸へ下る途中の関所(せきしょ)で女衒(ぜげん)に女と間違われます。追手から逃れて「都鳥の印」を探すためには女装が安全のため、吉原に身売りすることにしたのです。こうして「遊女花子実は天狗小僧霧太郎実は吉田松若丸」という、じつに三重の正体を持つ人物が誕生しました。
※この部分の台本は、『未翻刻戯曲集18』(国立劇場調査養成部)に収録されています。

女装する男

 天狗小僧霧太郎(てんぐこぞうきりたろう)実は松若丸は、女に間違われたために吉原に身売りします。男が遊女となるのは突飛な設定ですが、そもそもは4代目鶴屋南北(つるやなんぼく)が書いた趣向(しゅこう)でした。その作品は、文政4年(1821年)上演の『三賀荘曾我嶋台(さんがのしょうそがのしまだい)』と文政8年(1825年)上演の『御国入曾我中村(おくにいりそがなかむら)』です。どちらも、指名手配されている男がその身の安全と重宝の探索のため、女衒に女と間違われたのを幸い吉原の遊女となる展開で、本作と共通しています。女装する男を演じたのは、2作とも3代目尾上菊五郎(おのえきくごろう)でした。
 南北の没後、息子の勝俵蔵(かつひょうぞう)が『桜清水清玄(さくらさくらきよみずせいげん)』にその趣向を取り入れました。こうして「遊女花子実は天狗小僧霧太郎」という女装の盗賊が誕生し、『都鳥廓白浪』に受継がれたのです。それから数年後、黙阿弥は女装の盗賊という趣向を用いて、今度は独自の世話狂言を執筆しました。それが『三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつがい)』と『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』で、2作ともに黙阿弥の代表作となりました。

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