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作品紹介

東海道四谷怪談

概要
あらすじ
鑑賞のポイント

初演について

初代歌川国貞画
(左)民谷伊右衛門を演じる
2代目関三十郎。
(右)小仏小平・お岩を演じる
3代目尾上菊五郎。
殺されて戸板に打ち付けられた
小仏小平とお岩を
3代目尾上菊五郎が早替りします

【初演年】 文政8年(1825年)7月26日
【初演座】 中村座
鶴屋南北が71歳のときの作品です。
3代目尾上菊五郎(おのえきくごろう、42歳)はお岩(おいわ)、小仏小平(こぼとけこへい)兵衛、佐藤与茂七(さとうよもしち)の3役に扮しました。
7代目市川團十郎(いちかわだんじゅうろう、35歳)は民谷伊右衛門(たみやいえもん)、5代目松本幸四郎(まつもとこうしろう、62歳)は直助権兵衛(なおすけごんべえ)、2代目岩井粂三郎(いわいくめさぶろう、27歳:のちの6代目半四郎)はお袖(おそで)に扮しました。
怪談狂言を代表する名作です。

作品の世界

江戸・四谷左門町の「お岩稲荷」に伝わる巷説(こうせつ)を脚色したものです。江戸城の警備にあたる御先手同心(おさきてどうしん)の田宮又左衛門(たみやまたざえもん)の娘・お岩は婿(むこ)の伊右衛門にだまされたと知って狂乱し、行方不明になりました。その後、伊右衛門をはじめとして関係者が残らず取り殺されたというものです。南北は、この物語を「忠臣蔵(ちゅうしんぐら)」の世界で脚色しました。それゆえ『東海道四谷怪談』では、主人公のお岩は塩冶(えんや)浪人の娘、伊右衛門も塩冶の浪人という設定になっています。

作品の概要

『東海道四谷怪談』は、3代目尾上菊五郎が上方(かみがた)へ上る江戸御名残(えどおなごり)の狂言として書き下ろされました。御名残狂言には初代菊五郎の前例にならって『仮名手本忠臣蔵(かなてほんちゅうしんぐら)』が出されることになりました。『東海道四谷怪談』は『仮名手本忠臣蔵』の二番目の世話狂言として構想されたものです。
「初日」「後日(ごにち)」の2日替わりの上演で、初日には『仮名手本忠臣蔵』の「大序」から「六段目」まで、引き続き『東海道四谷怪談』の序幕から3幕目の「隠亡堀(おんぼうぼり)」の「だんまり」までが上演されました。「後日」は『東海道四谷怪談』の「隠亡堀(おんぼうぼり)」から始まり、続いて『仮名手本忠臣蔵』の七段目から十段目まで、さらに続いて『東海道四谷怪談』の4幕目から大詰まで、最後には『仮名手本忠臣蔵』の十一段目の「討入」が上演されました。
大入り続きで9月15日までのロングランとなりました。初演の翌年の文政9年(1826年)には、大坂で『いろは仮名四谷怪談』の外題(げだい)で上演されました。お岩役はもちろん3代目菊五郎です。その後も、音羽屋・尾上菊五郎家の芸として伝承され、日本の怪談劇の代名詞となりました。

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