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作品紹介

東海道四谷怪談

概要
あらすじ
鑑賞のポイント
お岩、お袖に敵討を約束する権兵衛と伊右衛門
「浅草裏田圃の場」
蚊帳を質に入れようとする伊右衛門(左)とすがるお岩(右)
「元の伊右衛門浪宅の場」
隠亡堀で再会する権兵衛(左)と伊右衛門(右)
「砂村隠亡堀の場」
お袖(左)と権兵衛(右)
「寺門前三角屋敷の場」
伊右衛門(右)を討つ与茂七(左)
「庵室外の場」

序幕 浅草観音境内(あさくさかんのんけいだい)の場/按摩宅悦内(あんまたくえつうち)の場

塩冶(えんや)浪人の民谷伊右衛門(たみやいえもん)は、舅(しゅうと)の四谷左門(よつやさもん)に悪事を悟られ殺すことを決意します。伊右衛門の女房・お岩(おいわ)には、お袖(おそで)という妹がいます。お袖は、貧しい浪人の家計を助けるために昼は楊枝店(ようじみせ)で働き、夜は密かに売春宿に出ていました。お袖に惚れている中間(ちゅうげん)の直助は、今では羽振りの良い薬売りになっています。直助は按摩・宅悦の売春宿に乗り込みましたが、その場に来たお袖の夫の塩冶浪人・佐藤与茂七(さとうよもしち)によって恥をかかされてしまいます。直助は、恋の恨みの与茂七を殺してしまおうと思うのでした。

同 裏田圃(うらたんぼ)の場

与茂七は、同じ塩冶浪人の奥田庄三郎(おくだしょうざぶろう)とお互いに姿を変えて立ち去りました。そうとは知らずに直助は、暗闇のなかで与茂七だと思って庄三郎を殺し、証拠が残らないように顔の皮を剥ぎ取りました。同じ場所で伊右衛門は四谷左門に止(とど)めを刺します。
お岩とお袖はふたりの死体に出くわします。そこへ現れた伊右衛門と直助は、敵討を約束し、それぞれの相手と一緒に暮らし始めることになりました。

2幕目 伊右衛門浪宅・伊藤喜兵衛宅(いえもんろうたく・いとうきへえ)の場

お岩と復縁した伊右衛門ですが、お岩が出産し、病気がちになると疎ましく思い始めます。一方、隣屋敷の伊藤喜兵衛(いとうきへえ)は、伊右衛門に惚れた孫娘・お梅(おうめ)のために、産後の薬と偽って毒薬を届けます。薬を飲むとお岩は苦しがり、片目が腫れあがって恐ろしい顔になりました。真相を知ったお岩は、伊藤の家に恨み事を言いに行くとして、身だしなみのために鉄漿(おはぐろ)を付け、髪を梳(す)きます。髪を梳くと髪の毛が抜けて禿(は)げあがり、息を引き取ります。伊右衛門は中間(ちゅうげん)の小仏小平(ことぼとけこへい)を殺し、お岩の間男(まおとこ)に仕立て、ふたりの死骸を戸板の裏と表に釘で打ち付けて川に流しました。憤死したお岩の亡霊は伊右衛門に取りついて、花嫁となったお梅と喜兵衛の首を斬らせるのでした。

3幕目 砂村隠亡堀(すなむらおんぼうぼり)の場

鰻掻(うなぎか)きの権兵衛(ごんべえ)と名を改めた直助は、伊右衛門と再会します。伊右衛門がひとりになると1枚の戸板が流れてきました。戸板を引き上げるとお岩の死骸、裏返すと小平の死骸が現れます。小平の死骸は骸骨(がいこつ)となります。水門の樋の口から与茂七が現れて、伊右衛門・直助と暗闇で「だんまり」模様の美しい立ち回りになります。直助は与茂七の持っていた義士仲間の廻文状(かいぶんじょう)、与茂七は直助の鰻掻きの柄(え)を手に入れます。

4幕目 深川三角屋敷の場

お岩の妹であるお袖は、夫の与茂七は殺されたと信じ込み、敵討を誓ってくれた直助と暮らしています。しかしふたりは体の関係のない上べ(うわべ)だけの夫婦です。お岩の死を知ったお袖は、本当の夫婦になって姉の敵をとってほしいと頼み、直助と契りを交わしました。
そこへ現れたのはお袖の夫・与茂七です。死んだはずの与茂七が来たことに驚く直助とお袖。ふたりの亭主を持ったお袖は、直助には手引きをして与茂七を討たすと言いました。一方、与茂七にも手引きをして直助を討たせると誓います。手引きの合図は、ともに行燈(あんどん)の灯を消すことでした。
手引きをされたふたりの男が突き刺したのはお袖でした。瀕死(ひんし)のお袖は自分の出生の証であるほぞの緒書きを直助に渡します。それによって、直助はお袖が自分の妹であることを知るのです。そして、与茂七だと思って殺していた奥田庄三郎は直助のかつての主人だったのです。
直助は、お袖を刺した出刃包丁をそのまま腹に突き立てて死んでいきました。

5幕目 夢(ゆめ)の場・蛇山庵室(へびやまあんじつ)の場

伊右衛門は、本所の蛇山庵室に隠れ住んでいます。伊右衛門は、夢の中で美しいお岩と出会いますが、その女は恐ろしい亡霊でした。
お岩の亡霊は燃える盆提灯(ぼんちょうちん)の中から現れて、伊右衛門の母を首くくりにして殺し、悪に加担した秋山長兵衛(あきやまちょうべえ)を仏壇の中に引き込んで殺します。与茂七は、お岩の亡霊の力を借りて、みごと伊右衛門を討ち果たしました。

ここでは、現行の演出をもとに、「あらすじ」を紹介しています。
3幕目「砂村隠亡堀の場」では、初演時の台本通り、お岩・小仏小平・佐藤与茂七の3役を早替り(はやがわり)で勤める演出のほかに、お岩・小仏小平・小平女房お花の3役早替りで見せる演出もあります。後者の演出は、女方が主演するときのものです。その場合には、佐藤与茂七は別な俳優が扮することになります。

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