『隅田川』えとせとら

  1. 『隅田川』
  2. 『隅田川』えとせとら
  3. 『伊勢物語』を題材にした能
  4. 『井筒』

『井筒(いづつ)』 作者:世阿弥 題材:『伊勢物語』17段・23段・24段

能(観世流)『井筒』

能(観世流)『井筒』
平成18年11月11日 国立能楽堂
〔シテ〕山本順之

諸国一見の僧が在原寺に立ち寄り、在原業平と紀有常(きのありつね)の娘夫婦の旧跡を弔います。するとそこに若い女が現れ、業平と有常の娘との恋物語を語り始めます。庭の井戸のほとりで背比べした幼馴染の2人は、やがて成人し、「筒井筒 井筒にかけしまろが丈…」「比べ来し 振り分け髪も 肩過ぎぬ…」と互いに歌を詠みあって、恋をみのらせます。その後、業平は別の愛人のもとへ通うようになりますが、有常の娘はそれを咎めるどころか、業平の身を案じる歌を詠み、業平も娘のもとへと戻るのでした。語り終えた女は、自分こそ有常の娘であるとほのめかし、姿を消します。夜がふけると僧の夢の中に、有常の娘が業平の形見の装束を身につけて現れ、静かに恋慕の舞を舞います。水面に映る自分の姿に、恋しい夫業平の面影を重ねる娘は、なおも業平への想いをつのらせますが、やがて夜明けとともに僧の夢は覚め、娘も姿を消します。


『井筒』は、美的な情趣の豊かな三番目物の中でも最も三番目物らしいとされる作品で、また、夢幻能(むげんのう)の代表作とも言われています。

  • 『雲林院』
  • 『杜若』
  • 『井筒』
  • 『小塩』

能(観世流)『井筒』 平成18年11月11日 国立能楽堂 〔シテ〕山本順之

能(観世流)『井筒』
平成18年11月11日 国立能楽堂 〔シテ〕山本順之

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夢幻能

能は、現在能と夢幻能の2種類に分けられます。生きている人間のみが登場する現在能に対し、霊的な存在が主人公となるのが夢幻能です。


夢幻能の典型的な構成は、旅の僧など[ワキ]が名所旧跡を訪れると、主人公[前シテ]が現われ、その土地にまつわる物語をし、いったん舞台から退場した後、主人公[後シテ]が、亡霊、神や草木の精など、本来の霊的な姿で登場するというものです。

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